第26話 ダララララララッ!

「はあ、朝っぱらから無駄に血圧を上げちゃったわ」

 管理者マークからの返信なんか見なければ良いんだろうけど、見なかったら見なかったで何か罠を仕込まれていそうで落ち着かなくなる。

 結局毎日報告は書かないといけなくて、その時にどうせ見るのなら、さっさと見ておいた方が気にならない分ましなんじゃないだろうか。


 自分に浄化を掛けてすっきりする。

 すっきりするんだけど、何となく物足りなく感じる。

 着替えの服は相変わらず無くて、ルームウエアを着た切り雀だし。

 朝ごはん……。昨日酸っぱいパンはコボルト達に分けて食べ切っちゃったから、購入しないと何も無い。

 ナオさんの猫缶はまだ残っているから大丈夫。


「朝ごはん注文する前に、今日の分回しちゃおうかな……」

 割とね、私は運が無いというか、直前の行動で欲しかった物が、後になって出るみたいな感じがするからね。


「と言う訳で、ナオさん……」

 すすすっと、半透明のプレートをナオさんの前に差し出す。


「嫌ニャー」

 ナオさんはプイっと横を向いてそう言うと、後は猫缶の続きを食べる事に集中してしまった。


「うう……、やっぱりかー」

 自分の運には全くと言っていいほど期待していないから、ていっと半分ぐらい投げ遣りにスタート記念ガチャのボタンを押す。


 ダララララッと相変わらず軽快にドラムロールが鳴って、花火が打ちあがるところまでは一緒で。

 花火の中から、今度は数発更に打ち上がる。


「おおおお?」

 これはもしかしてもしかするのかしら?


「おめでとうございます。大当たりを引いたみたいですよ」

 白銀がちょっとはにかんだ様に笑って、お祝いを言ってくれる。

 あらやだ、こんなオプションまで付いているの?


「大当たりって言うと、ボスモンスターとかレアなスキルとかだと良いな~」

 わくわくしながら花火の派手な演出を見て、煙が消えるのを待つ。


 煙が結構広範囲にもくもくと漂っているから、スキルオーブとかアイテム系じゃなくて、これはボスモンスターかしら?

 まあボスモンスターが出ても、まだ二階層までしか出来て無いし、公開もまだまだ先だし、持て余すのは確実なんだけど。

 それとこれとは別なのですよ。ガチャの当たりにはロマンが詰まっているのよ……!


 そんな事を思いながら待てば、そこにはメイド服を着た、体格の良い、おば……おばさま? が立っていた。

 ちなみに髪の毛は紫色でした。


「召喚していただきありがとうございます。夢魔のフレイヤと申します」

 両手をお腹の前に沿えて、深々とお辞儀をした後に頭を上げたら、フレイヤさんは見上げるぐらい背が高かった。多分百八十センチ位は有るんじゃないかな? ちなみに横にも結構幅が有りそうです。


「よろしくお願いします。私はサブマスターの美咲です。ダンジョンマスターはこちらのナオさんです。まだ何も揃ってないダンジョンなので、気が付いた事とか意見が有れば言ってください」

 見るからに年配かなと思ったので、割と丁寧目に挨拶をしておく。

 ダンジョンモンスターって見た目通りの年齢なの?

 それとも召喚された瞬間に生まれるの?


「ご丁寧にありがとうございます。私、見ての通り家政を得意としておりますので、ダンジョン内の生活環境等に関してはお任せください」

 とフレイヤさんは胸を叩いた。

 凄く頼りがいがありそう…‥!

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