第25話 わざとやってる?

「えっ? あなたも名前を付けて欲しいの?」

 花蜜豆に名前を付け終わった後、ふと見れば角うさぎも後ろに並んでいた。

 こくこくと角うさぎは頷く。顔は怖いけど、動作は可愛いのよね。


「う~ん。あなたはねえ……親分しか思い浮かばないわ」

 目の上に走る傷がもう、目付きの悪さに拍車を掛けてるののよね。

 本当は奥さんの毛繕いをしたり、子供達に構っては鬱陶しがられてる良いお父さんみたいなんだけど。


 少し考える様にして、角うさぎは深く頷いた。それで良いらしい。

 ナオさんは花蜜豆の名前を付けた事で満足したのか、角うさぎの名前には興味が無い様子だ。


「【鑑定】」

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『親分(仮)(亜種)

レベル6 角うさぎ

角うさぎ自体の肉は柔らかく美味しいが この個体に限っては相変わらず肉は固い

固い分旨味は凝縮されている 煮込み料理にお勧め

火に弱い 毛皮は見た目よりも毛が詰んでいる為寒さには強い』

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 うん。この鑑定って何を基準に表示されているのかしらね。割といい加減な気がするんだけど。


 親分は、名前を付けて上げたら誇らしげに胸を張って、家族のいる方に戻って行った。

 奥さんとか子供達から毛繕いされてて嬉しそう。

 モンスターはやっぱり強いのが甲斐性らしいのですよ。ネームドになる可能性が出て来たというだけでも、かなり違うらしいです。


 まあ色々在ったけど、ご飯はもう食べ終わっている事だし、一日の汚れを生活魔法の浄化で落として、ダンジョン日誌を書いて寝る事にする。

 日誌には、現代日本から無理矢理攫って来るなら、生活環境を整える分のDPダンジョンポイントくらいは初期費用で用意しておかないと困ると苦情を書いておいたわ。


 そしたら、

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『美咲ちゃんへ

ナオさんの引きの強さは凄いね~。【アイテムボックス】はDPで交換しようとすると10,000ポイントは掛かるよ。

尤も、それぐらいDPが溜まる頃になると必要無くなる事の方が多いんだけど。


それから、Eランクのモンスターでも育てれば強くなるから、大事に育ててね。名前付きにするのも長い目で見ればよい手段だと思うよ。


生活環境に関してはゴメン☆

最近キャンプ物が流行ってるから、喜ばれるかと思ったんだけど、よく考えたら道具も無いのにキャンプは出来ないよね。

お詫びにキャンブ用品を贈るので、使ってください。』

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 という返事が書かれていたんだけど、違う、そうじゃ無い。


 というか、テントを貰っても……。もう個室作っちゃったし、他の子も使わなさそうだし。

 寝袋も、お布団一式交換した後だし、他の子も……。

 BBQバーベキューセットは、今後料理する事が有れば使うかな……?

 どちらかと言うと、普通に台所が……出来れば人数がこれからも増えるだろうから調理室みたいなのが欲しいんだけど。

 自由に使えるDPが欲しかったのであって、洞窟の中でキャンプ用品を貰ってもね……。

 あれ、でも冒険者だとダンジョン攻略にキャンプ用品使うのかしら? 取って置いたら後で売り付けられないかなあ。

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