第24話 可愛いあの子は嫉妬深い
「美咲は浮気者ニャ」
並んでいた子達を一通り撫で終わって一息ついたところで、いきなりナオさんに詰られる。
「美咲はナオさんを撫でて居れば良いのニャー。他は必要無いのニャー」
鼻に皺を寄せて不快感を表しているけど、皆を撫で終わるまで待ってたんだって知ってる。
「うん、そうだね。私もナオさんが一番好きよ」
可愛い奴めと頬を両手で挟んでうりうりとマッサージする。それから全身隈なく心を込めて撫でさせて頂きました。……至福だわ。
「……ニャ、ニャ~。仕方が無いから今日はこの辺で勘弁してやるニャ。……ナオさんは心が広いから、偶になら他の子も撫ででも良いニャー」
でろんでろんに広がりながら、ナオさんが捨て台詞(?)的な物を吐く。
満足していただけた様で何よりです。これからもフィンガーテクに磨きを掛けるわ。うふふふ。
ナオさんとイチャイチャタイムを満喫していたら、直ぐ近くでホーソーンクイーンビーが待機していた。
「あら、どうしたの?」
ナオさんのお腹を、手の平を熱を移す様にぴったりくっ付けて、健康であれ~健康であれ~と願いながら撫で擦りながら、顔だけホーソーンクイーンビーに向けて問い掛ける。
ホーソーンクイーンビーは脚とか触角をわちゃわちゃっと動かしながら、何かお願いが有るみたいだ。
「その子も名前が欲しいって言ってるニャー」
ニャフフっとちょっと笑いを漏らしながらナオさんが教えてくれる。どうやら擽ったい場所に入ったらしい。
「ええと……。隊長みたいにネームドになる訳じゃ無いと思うけど、それでも良いかな?」
隊長の場合は、よく分からないけど制御できない【撫でる】の効果が偶々発動してネームドになっただけだから、狙っては出来ないと思うのよね。
確認すると、ホーソーンクイーンビーはこくこくと頷きながら、脚を一生懸命に動かす。
触覚もぴこぴこ動いてて、愛嬌が有るのよね。
「名前を付けてもらって、それを自分で受け入れて居れば、戦ったりとかで経験を積んだ後にネームドに成りやすいからって言ってるニャー」
私の手から逃れて座り直したナオさんは、前肢で丁寧に顔を洗いながら教えてくれる。
「なるほどね~。そう言う事なら何か良い名前でも考えなきゃね。……難しいなあ」
女王蜂っぽいけど可愛い奴が良いし。モンスターだから強そうな奴が良いのかな……?
「美咲はどうせネーミングセンスが無いから、考えるだけ無駄だニャー。ナオさんが素敵なのを考えるニャー」
とナオさんに鼻で笑われてしまう。
「し、失礼なっ! え~と、え~と、……琥珀でどうかな?」
ここは出来るご主人様な所を見せて、ナオさんの尊敬を勝ち取らなければ。
「ところで、何で琥珀なんだニャー?」
関連性が分からないニャー。とナオさんは小首を傾げる。
「それは、ほら。よく蜂とか蟻が入った琥珀が売ってるじゃない……」
そこから連想したのだと答えると、
「最悪だニャー。美咲は本当に駄目ニャー」
と、ナオさんに溜め息を吐かれてしまった。
「ええ~、でも琥珀って可愛いと思わない?」
思うでしょ? と、ホーソーンイーンビーに問い掛ければ、触角をしぴぴぴっと震わせて、困惑している様な雰囲気を出す。
「そんな名前より、花蜜豆が良いニャー」
とナオさんが言えば、ホーソーンクイーンビーはまたしぴぴぴっと触角を震わせるけれど、どこか嬉しそうな感じがする。
「ぐ……、そっちの方が可愛いわ……」
敗北に膝を付く。……っていうか、元々ナオさんを撫でる為に座り込んでいたんだけどね。
「【鑑定】」
--------------------
『花蜜豆(仮)
レベル6 ホーソーンビー
針には弱い毒が有る 通には大人気の味 摂取している蜜の種類で味が変わる
熱に弱い 温度が下がると動けなくなるが死にはしない』
--------------------
となりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます