第19話 増えては減り増えては減り
踏み付けた角うさぎが、もぞもぞと足の下から這い出して来て、こっちを見上げながらわちゃわちゃと前肢を動かしている。
うん。何を言ってるのか分からないけど、二回目だから何となく分かるわ。
軽く頷いて、付いて来るように身振りで示す。
角うさぎもこくりと頷いて、とてとてと私の後を付いて来る。
目付き悪いけど、それでも可愛いわ。
しかし、仲間になる条件って、決まった物が何か有るのかな?
ゲームとかだと、瀕死まで敵を追い込むとかは割と良くある条件だけど。
角うさぎたち……戦っている時には近くに居なかったのに、終わったらわらわらと何匹も出て来たのだ。
出て来た子達は傷有りうさぎより小さいから、お嫁さんと子供達かしら?
意思の疎通が出来ないから、さっさと眷属化してしまおうとダンジョンに戻って、白銀に頼んで眷属化してもらう。
傷有りの角うさぎ(亜種)の子は亜種だったので、召喚だと20
角うさぎ達も寝床は巣穴みたいなのを掘るのか聞いてみたら、角が邪魔で巣穴生活は出来ないとの事。
確かに傷有りの子なんかは角が立派だから、穴の中だとぶつけそうだけど。
普段は灌木の茂みとか隠れられる所に巣材を集めて暮らして居るのだとか。
と言っても現在二階層しかない上に、小部屋なんかも無いし、全て地面むき出しの状態な訳で。
何れダンジョンをどうするかの段階に移ったら、角うさぎ達が暮らせる環境も作らなければだけど、当面は適当な場所で巣を作って貰うよう頼む。
ご飯とかも人数だけ増えたしどうしようかと思ったら、ダンジョンモンスターも魔素が循環するからご飯は要らないのだとか。
とは言え今まで食べていたのにいきなり無くなりましたってのも辛いし、暫くの間は自力で何とかして貰う事にする。
ついでにそろそろ日が暮れそうだったから、ナオさんが倒した分と自分が倒した分を回収して来る。
ナオさんが二十匹、私が六匹でした。合計で260Pなので残りが505Pまで戻る。
「と言う訳で、ナオさん本日もよろしくお願いします」
スタート記念ガチャ二日目分である。
「え~、昨日はナオさんがしたから、今日は美咲がするとイイニャ」
プレートを差し出したら、ナオさんが鼻に皺を寄せて拒絶を表す。
「ナオさんがダンジョンマスターだし、ね?」
お願いします。と頼むけれど、
「今日は嫌ニャー」
と、鼻をひくひくさせて受け入れてくれない。
「え~ん。私の引きが悪い事知ってるくせに~」
それでもナオさんに無理やりしたくない事をさせるぐらいだったら、外れを引いた方がましだから、諦めて画面のスタートボタンにそっと触れる。
昨日と同じ様にドラムロールが鳴って、花火と共に何かが飛び出して来る。
「薬?」
煙が消えたら残っていたのは赤色っぽい液体の入った小さな瓶だった。
「【鑑定】」
--------------------
『毒消し薬
低級毒消し薬 初級ランクのモンスターの毒なら大体治る
材料に毒草が使用されているためちょっとピリッとする シロップでごまかしているため甘い』
--------------------
……うん。味の説明だけはしっかりしてるね。
毒ねえ……。女王蜂と戦った時に受けた毒は、半日ぐらいしたら消えたのよね。
つまり半日ずっと毒でスリップダメージが入ってたから、ちょっと辛かったんだけど。
撫でるで戻る程度のダメージだったから、何とかなったし、治る頃には【毒耐性】も覚えたんだけどさあ。
ちょっと脱力してしまったから、個室は兎も角お布団は出しちゃおう。何れは交換する奴だし。
ナオさんと一緒に寝れば、明日の朝には癒されている筈だわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます