第11話 ガチャにはロマンは有るけど当たりは無いのかもしれない
一日一回無料で回せる記念ガチャ。内容はランダム。
回しても回さなくてもどちらでも良いけれども、繰り越しは出来ない。
となったら回すしか無いでしょ。
「ナオさん、お願いします」
白銀から半透明のプレートを受け取って、ナオさんの前にずずずいっと差し出す。
プレートにはピカピカ光るスタートの文字と、背面に派手なエフェクトが表示されている。
「ナオさん、美咲の好きニャそーしゃるげーむとかには興味が無いニャ」
今まで散々ナオさんにガチャを回して貰っていたから、またか……みたいな目で見られた。
だって仕方ないじゃない。ナオさん天使なんだもの。験担ぎと言う物が有りましてですね……。
それでも、仕方が無いニャーと言いながらもちゃんとスタートボタンを押してくれるナオさん、本当に天使。
ダラララララララ……ダンッ! とドラムロールが鳴って、プレートの画面から小さな花火の打ち上げ音と共に何かが飛び出して来た。
無駄に凝ってて、悔しいけどちょっとワクワクしちゃったわ。
あの管理者の仕込みだって分かってるから、悔しいし誰にも言わないけど。
ぼっふんと飛び出た何かから煙が出て、煙が薄れたと思ったらそこには小さな茶色い生き物が居た。
「ニャニャニャッ! トカゲだニャー!」
ガチャから出たからにはダンジョンモンスター何だろうし、小さくても大事な仲間の筈だ。
だと言うのに、話し掛ける隙も無く、ぴょーんと飛び上がったナオさんが、ばしーんと前肢でその蜥蜴を捕まえてしまった。
「キ、キィィ……!」
蜥蜴から悲痛な鳴き声が上がる。
「ナ、ナオさん。待った、待った。この子こんなんでも
ナオさんは嬉しそうにお尻を上げて尻尾を立てているけれど、心を鬼にして足の下から蜥蜴を救出する。
あ、尻尾切れて無くて良かった。切れた尻尾って暫く動くし苦手なのよね。
「君もゴメンね。びっくりしたでしょ。……君はダンジョンモンスターとして呼び出されたので良いんだよね?」
ちょっと縒れてしまった蜥蜴をそっと撫でると、ふわりと淡く光って傷が治っていた。
「あれ……?」
「それは美咲の【撫でる】の効果でしょうか?」
白銀が蜥蜴に問えば、蜥蜴はこくこくと頷いた。
「おお~、ナオさんを撫でるためのスキルかと思ったら、案外使えるスキルだったのかも? どこまでの怪我を治せるか分からないけど、回復手段が有るって言うのは心強いわ」
蜥蜴を取り上げる形になっちゃったから、とても不満そうにしているナオさんを宥める様に背中を撫でる。
心を込めて撫でると、またぷわわわっと光る。怪我して無くても光るのね。
まあ、ナオさんも気持ち良さそうにしているから、害が有る訳でも無さそうだし良いか。
「はあ、今日はもう疲れちゃったしもう寝ようかな」
聞けば白銀は睡眠の必要が無いと言う。
本来ならダンジョンマスターも睡眠の必要は無いらしいのだけど、身体が召喚前の記憶に引き摺られるから、眠いと思う内は寝た方が良いらしい。
所で、サブマスターの私に関してはどうなんだろう?
まあ分からない時は、身体の欲求に従っておいた方が無難かなあ。
自分とナオさんに浄化を掛けて、さっき汲んで置いた水を飲み干す。
眠る前にダンジョン日誌をって言われたけど、ナオさんが書く訳が無いから私が書かなきゃいけない訳で。
と言っても、
つまりは雑感とか所感とかまあそんな事を書けば良いだけらしい。
なので、如何にこのダンジョンマスターを召喚すると言う事が、非人道的で駄目な事なのかや召喚した管理者の態度が酷かったのかを書き連ねて置こう。
どうせあの管理者が読むのだろうし。
うん、中々の力作に仕上がったわ。
プレートを白銀に戻してから、座布団を折り畳んで枕にして横になる。
横になったら洞窟内の光源量を白銀が落としてくれた。言わなくてもしてくれるの優しい。
ナオさんはまだちょっと遊びたそうにしていたけど、私が横になったら側に来てくれた。
美咲は毛が無いから寒いだろうしだって。
早くDPを増やしてふかふかのお布団と交換したい。
管理者の悪口を書いた性なのかしら?
寝て、起きたらお腹が超痛かった。
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