第9話 ナオさんのためなら私は飢えても良い

「一か月後にダンジョン公開。それに間に合わせる様にダンジョンを何とかしないとって事ね」


「はい、最初の準備費用としてDPダンジョンポイントが1,000ポイント付与されています」

 食料や日用品等の経費も含まれていますので、全部使い切らないことを推奨します。


「DPの使い道って、ざっとで良いんだけどどんな物が有るのかな?」

 分からない事を聞く事は恥では無い。

 プライドで猫缶は買えないのだ。


「はい、主な用途としてダンジョンの階層拡張が有ります。それから、部屋の増設、罠などの仕掛けの設置などです。また、モンスターの召喚にも使います。それから宝箱の設置ですね。ダンジョン以外ですと、スキルの取得、消耗品の購入、それから通貨との交換なども出来ます」

 ダンジョンの階層を増やすためには最初は500P掛かり、その後一階層毎に必要コストは倍々になっていくらしい。

 部屋の増設は基本が100P。大きくしたりするとその程度によってPを消費するし、模様替え何かでもPを使うけれど、自力で部屋を作った(掘った)場合は部屋として固定するのに10Pだけ使うらしい。

 それ以上の細かい事はまた必要になったら覚えよう。

 モンスターもランクや種族によって召喚コストが違うし、宝箱も設置する物のランクによってPが違うらしい。

 ちなみに階層などに配置するボスモンスターは、召喚したモンスターを育てたりスキルを覚えさせてユニーク化するか、ダンジョン外からスカウトして来るか、Pを消費してガチャを回すかする必要が有るらしい。

 但しボスモンスターは必ずしも配置する必要が有る訳では無いので、余裕が有ればという事で後回しにするつもり。


「なお、美咲様は……」


「美咲で良いわよ。様何て堅苦しいし」


「はい。では、美咲はサブマスターなので、ダンジョンの拡張に関する事にはPを使えません。モンスターの召喚や罠の設置、消耗品の購入などに限定されます」

 との事らしい。


 ダンジョンの階層を増やさずに部屋だけを追加して行けば、当面凌げないかなと思ったけれど、どうやらダンジョンの階層=ダンジョンのレベルに該当するらしく、レベルを上げないと解放されない機能もあるとの事。

 罠の設置何かがそれに当たるらしい。


「階層はある程度増やしたいけど、当面はDPを上手く増やせる様にしないとじり貧だよねえ」

 準備期間の前半はDPを増やすために最初の1,000Pの内の使える分を使って、後半はダンジョンの整備とかにしようかと白銀と話し合う。


「それはそうと、消耗品に猫缶って有る? 何Pぐらい掛かるの? それからお水も」

 死なないから自分は飢えても我慢すれば良いけど、ナオさんのご飯だけは確保しておかなければならない。


「そうですね、猫缶……は、こちらの世界に無い物なので、少々交換レートが高目の様です。十缶セットで100Pですね。水は二種類有ります。日本産美味しい天然水だと二リットルで10P、ホーソーン丘陵の水だと一樽で5Pですね。それから、パンはこちらの物なら一塊で5Pです。日本産の菓子パン等は一個で5Pですね」

 慣れない内の飢えは思考を阻害するので推奨出来ません。栄養価は兎も角として何かしら食べた方が良いでしょう。と白銀に窘められる。


「分かったわ。じゃあ猫缶一セットと天然水一本、パン一塊と水一樽お願い」

 先ずは食糧だけでも確保しておかねば。


「はい、120P使いましたので、残りは880Pになります」

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