第8話 第一回ダンジョン運営会議
「よし、じゃあ先ずは今すぐやらないといけない事と、これだけは知っていないといけない事を教えてくれるかな?」
細かい事は追々でお願いします。一度に色々言われても、処理し切れないしね。
立ち上がるタイミングを逃したまま、私は地面にぺたんと座り込んでいるし、白銀は膝を抱える様な体勢でしゃがんでいるし、ナオさんは相変わらず私の頭の上に居る状態で、第一回のダンジョン運営会議は始まった。
「はい。ここは『ホーソーン丘陵のダンジョン』と呼称されています。また、ダンジョンマスターが就任されましたので、一か月後に一般に公開される予定です」
ダンジョンと言えば最奥まで踏破して、ダンジョンマスターを殺して、ダンジョンコアを奪って……という物だと思っていたのだけど、どうもこの世界ではそうでは無いらしい。
ダンジョンの存在意義が、そもそも魔素の循環を目的としているのだから、態々別の世界からダンジョンマスターを召喚して時間を掛けてダンジョンを開設して、あっさり踏破されてはい終わりでは困るのである。
但し、ダンジョンマスターも冒険者もお互いに死ねばそれなりにペナルティが発生する。
ダンジョンマスターは五階層分の没収と、復活に
冒険者の方もダンジョン内で死亡した場合は、蘇生された状態でダンジョンの入り口に戻される。そして蘇生の費用に所持金額の半分が回収される。
また防具から一つ、所持品の中から一つ没収され、ダンジョン内の宝箱の中に入れられる。
そのためダンジョンに入る冒険者は、一定以上のお金はギルドに預けて入る。全額で無いのは、所持金が少な過ぎると装備が自動で売却されて蘇生費用に充填されてしまうからだ。
大体の目安は自分のレベル分の銀貨だそうだ。(銀貨は大体一万円ぐらいと思えば良いみたい)
没収される装備が防具だけで武器では無いのは、武器を没収してしまうと冒険を続ける事に支障が出るからだとか。
そしてこれはダンジョン内で死んだ冒険者自身も覚えていない事なのだけど、蘇生させて暫くの間は意識が朦朧とした期間が続くのだそうだ。
なのでその期間蘇生した冒険者を、ダンジョンの拡張の労働力として行使しているらしい。土魔法の使い手だったりすると階層の新設もある程度進むから、DPの節約になって良いのだとか。
そして、ダンジョンが準備期間を経て公開されると、冒険者ギルドに新規ダンジョンとして張り出されるらしい。
張り出されて一月は、ダンジョンマスターも冒険者も無敵と言う訳では無いけれども、ペナルティ無しに蘇生される状態になるらしい。
そして低ランク冒険者に対しては、期間中に一度はダンジョンに入る事が義務付けられていて、新設ダンジョンである程度の成果を上げる事が、冒険者ランクを上げる条件になっているのだとか。
そんな訳で、ダンジョンを開設してから暫くは、何をしなくても人が来るのだけれど、その期間にある程度運営を軌道に乗せて置かないと、あっという間に人が来なくなってしまうそうだ。
人が来無くなればDPが入らない。
DPが入らなければダンジョンの拡張も出来ないし、細かな物資と交換する事も出来ない。
つまりDPが無ければご飯も食べれないのだ。
一応ダンジョンマスターは人(うちの場合は猫だけど)では無くなるから、ある程度は魔素を吸収して餓死はしないらしい。
但し、餓死しないからと言ってお腹が空かない訳でも無く、切ない思いをして過ごす羽目になるのだとか。
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