第60ターン アポストル――使徒、或いは眷属
「知ってるの、オルファリアちゃん!?」
「は……はい……わたしも実際に目にするのは初めてですけど……」
アーネル像の陰で身を小さくしながら、オルファリアは怖々とピリポへ語った。
「アポストル……本来は『使徒』と称される彼の方々は、元は神代の頃、まだ地上におわした神々の側近であられた人々で、当時の英雄たちだったと言われてます……」
そして神代の終わり、神々が地上を去る際、共に天上の世界へと召し上げられたのだと。
「
元々が神代の英雄である
「……何、その反則級な存在!? そんなものがポコポコ居るの、天界って所には!?」
「でも、本来の
本当ならば気高く美しい姿を怪物染みた醜いものへと変貌させられ、清廉潔白な心根も狂気へと侵されてしまうのだと。そうなった彼らを、
「あの猿も、本当はアーネル様にお仕えする
「……あの
「……召喚したのは別の
ピリポへオルファリアは言葉を濁した。……
(例えば……高位の僧侶の肉体とか)
……詰まるところ、
(……気にしちゃ駄目。今はもっと考えなきゃいけないことがたくさんあるんだから……!)
名も顔も知らぬ猿の
(今、問題なのは……邪神の
つまり、すぐそこの猿に人の身の魔法は通じず、身体能力や戦技についても並の冒険者では歯が立たないはずなのだ。
(その上、わたしなんかでは足元にも及ばないほど
……それを相手取る事態を如何にして打破するのか? 彼の猿の行動原理は不明な点が多いが、ディアスとロレンスへ攻撃した点、今もアーネル像の前に陣取り、オルファリアとピリポを待ち構えている点から、彼女たちを襲おうという意思を持ち合わせているのは確実だ。
(対抗しなきゃ遠からずわたしたちも襲われて……殺される! でも……どうやって? 逃げようにもディアスくんやロレンスくんを置いてけないし……戦うなら――)
「――オルファリアちゃん、おいらが飛び出してあの猿を引き付けるから……その隙を突いてオルファリアちゃんはこの遺跡から逃げて。……ね?」
「……え?」
迷いへと沈んでいたオルファリアは、ピリポの提案にそこから引っ張り上げられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます