第30ターン コトネリアの本性!?


■華竜歴二〇七年 文したためる月 三日

 モモチ村の北東の廃坑で、オークの群れを討伐。……仲間割れがあったみたいで、聞いてたよりも数が少なく、負傷した個体ばかり。……物足りなくてムラムラするわ。

 ――そういえば、この村の村長さんの息子のロックくん……可愛かったわね。年齢は一三歳……うん、イケる、イケるわ。

 ちょっと摘み食いしてきちゃお♪


■華竜歴二〇七年 文したためる月 四日

 昨晩頂いたロックくん、大変将来有望だったわ。

 四年……ううん、二年後、ぜひもう一度お相手願いたいわね♪


 ……オルファリアは、コトネリアの日記帳をそっと閉じた……。

「……あ、あれ……? な、何だかとんでもないことが書かれてたような……?」

 目を擦り、オルファリアは幻覚だったと信じて、今一度コトネリアの日記帳を開く――


■華竜歴二〇七年 葉の茂る月 一日

 指名手配中の〝熊牙盗賊団〟のアジトを発見。

 ……でも、古代の砦を利用したアジトは、真っ向から攻め落とすのは難しそう……。敵の数も、確認出来ただけで三〇人。

 どうするべきかしら……?


■華竜歴二〇七年 葉の茂る月 三日

〝熊牙盗賊団〟、総勢五五人、全員自首させたわ。

 やっぱり人は、話し合えば解り合えるわね。

 それにしても……首領のゴングさん、とても良いモノをお持ちだったわ。太くて長くて、奥までズンズン届いちゃった。エラも大きく張り出してたから、中で引っ掛かって、中身がはみ出そうだったもの❤ あんなに気持ち良かったのは久し振りだわ。

 副首領のザボくんは絶倫だったわね。一晩で二〇回は出してたかしら……? お腹の中が熱くてドロドロしたものでいっぱいになっちゃったわ。あんなに濃いモノをあそこまで何度も中に出されて……本当にデキちゃったらどうしよう~?

 三番手のアルゴって人はお尻の方が大好きで――(以下省略)


■華竜歴二〇七年 葉の茂る月 二八日

 ……最近、私に新しい二つ名が付いたみたい。〝献身教ナートリズム売女ばいた〟とか〝聖なる淫売〟とか。〝パコパコ天使コトネちゃん〟というのもあったわね……。

 ……流石に少しヤリ過ぎたかもしれないわ……。


 ――凄絶に空気を破裂させ、オルファリアはコトネリアの日記を閉じた。

「お……お母さぁぁああああああああああああ~~~~~~~~~~~~んっっ!?」

(冒険者時代、何を……ナニをやってたの!? 母親のこんな話、知りたくなかった!!)

 ぜえはあ息を整え、オルファリアは荒れ狂う胸中と折り合いを付けようとする。

(……う、うん。お母さん、魔界生まれの純血のサキュバスだもん。生きる為には男の人から精魂アニマを吸収する必要があって、その為に仕方なく……だよね? ……いやああっ!? 全然! そんな風には思えないよ!? 明らかに必要以上にシてるじゃない!!)

 実母がビッチと解った時、娘は何処に感情の落とし所を探せば良いのか? 想定外の難題にオルファリアはのたうち回りたくなった。

「……ま、待って、オルファリア。これは昔の話。わたしの知ってるお母さんはこんな人じゃない。献身教ナートリズム僧侶クレリックとして本当に尊敬出来る、楚々とした聖女だった――」

(――あれ? 本当にそうだった……よね?)

 不意に、オルファリアの胸の中にしこりが生じた。

(……夜中にふと目が覚めた時、お母さんが家に居なかったこと……結構あったよね?)

 朝には自宅の教会に居たが……そのような夜、コトネリアは何処に行っていたのか?

(そ、そういう夜の翌朝に限って、村の男性に何だかお疲れの人が居たような……?)

 そして、そういう男性はオルファリアが挨拶するとばつが悪そうな様子だった。

「……お母さんのお葬式の時、村の男の人たちは一人残らず来てくれて、皆、お母さんの為に凄く泣いてくれてたけど……」

(……あの涙には、わたしが思ってた以上に深い理由があったのかもしれない……)

 母への尊敬の念が、急速に右肩下がりになるのをオルファリアは自覚した。

「お、お母さんが生きてる間に、この辺りのことを問い詰めたかった……! ――って、それよりも今はオークション! お母さん縁の品は見付けたんだから、会場に行って出品しないと………………出品?」

 ……が、部屋から飛び出したところで、オルファリアはその事実に気付く。

(お母さんのこの日記を……売る? お母さんの、奔放過ぎる……エ、エッチな体験が赤裸々に書かれた代物を……売るの? そして、買った誰かに……読ま――)

「――オルファリアさん、見付かった!? アタシの方はそれらしい物は何も……! だけど、もう出ないとオークションに間に合わない………………って、あれ?」

 焦り顔でオルファリアの許へ来たティスは、床で転げ回る彼女に目を白黒させた……。

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