第12ターン そうは問屋が卸さない
《
「……んっ――ふぁっ……!! ……はあっ……はっ……はぁっ……!」
《
「はぁ……あぅ……はぁんっ……。や……やっぱり《
オルファリアの潤んだ鳶色の瞳が、自らの胸部を見下ろす。そこにそびえる山々の天辺が、充血して腫れ上がっていた。オルファリア自身の息が掛かっただけで甘い痺れを走らせる。
……《
「……本当にそうなのかは、わたしも知らないけど……うぅ……」
ともかく、《
「……い、今、
オルファリアが脱力した身体に鞭を入れ、冒険仲間たちの所へ向かおうとした、時――
「……ふがぁぁぁぁああああああああああああああああああああ~~~~~~~~~~!!」
――大音声が洞窟の壁を震動させた。同時に砂煙から飛び出したのは、赤獅子の体躯……。
「……マンティコア!? そんな、まだ生きて…………えっ?」
血の気を引かせたオルファリアだったが――即、異様な雰囲気を察した。マンティコアの首から上は、禿頭の一番上まで上気している。双眸は粘り付くような輝きに燃え、オルファリアの肢体を爪先から頭頂部まで舐めるように睨め回してきた。
……繰り返す。《
「……《
……否。マンティコアは《
――致命的に失敗したのだ。
先までの……冒険中は常に頭の片隅で覚え続けていた生命への危機感とは違う――女性的な身の危険の予感がオルファリアの背筋を這い上がった。
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