第6ターン 聖女と書いてサキュバスと読む?
(……おかしい……)(おかしいよね……?)(どうなっている……!?)
ディアス、ピリポ、ロレンスの内心は一致していた。
如何に自分たちがまだ実力不足の冒険者だとしても、ゴブリンの巣を一つ壊滅させる程度の依頼で、どうしてここまで手こずるのかと。
(……ああ、認めるぜ――)(原因はあれしかない!)(遺憾ながら……)
――オルファリア。
彼女の存在が、冒険の難易度を一段階も二段階も引き上げていた。
……断じて、オルファリアが足手纏いというわけではない。彼女がこの冒険中に上げた成果は、他の三人と比べても大きい。褐色のゴブリンを撃破し、ディアスの脚の傷も治している。
ただ……仮にオルファリアが男の
……ちなみに、あの後ロレンスは無事にオルファリアからお許しを頂いている。
『そ、そもそも、動転してたとはいえわたしからお願いしたことですし……』
まさに聖女のような心の広さだが、ロレンスたち三人にとって、オルファリアはむしろ聖女とは真逆のあの存在を想起させるのだった――
「そう――『サキュバス』」
「おい、こら、ピリポ……!」
「それはオルファリアに失礼だろう……!」
ピリポが発した名称に、ディアスとロレンスが凄む。
その
頭部から角を、背中から蝙蝠のような翼を、臀部から先の尖った尻尾を生やした見目麗しい女性の姿をしているというその
――性的魅力でディアスたちの心を翻弄するオルファリアに、そんなサキュバスのイメージを重ねてしまうのは仕方のないことと言えよう。
「……オルファリアと冒険に出るようになって一ヶ月経つけどさ……慣れねえよなぁ……」
「……それは貴様が彼女に邪な感情を抱いているからではないのか、ディアス?」
「よよよ邪ってなんだよ、ロレンス!? そういうお前だって怪しいぞ!!」
「ちなみに、おいらはバリバリに邪な感情を抱いてるね!!」
「「少しは自重しろ変態ピグミット!!」」
「――あのっ、皆さん?」
小声で言い争っていた男性陣の背後から、少し強めにオルファリアが呼び掛けた。男たちがビビクゥッ! と跳び上がる姿がシンクロする。
「あちらにはもうゴブリンは居ないみたいですけど……こちらはどうですか?」
「あ、ああ、こっちにももう居ないみたいだぜっ」
オルファリアの問いに、代表してディアスが返す。
……オルファリアの様子を見るに、ディアスたちの会話は聞こえていなかったようだ。そのことにディアスもロレンスもピリポも胸を撫で下ろす。「サキュバスみたいだ」と女性を評するのは、セクハラかつ失礼過ぎる。特にオルファリアたち
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