独房

まーくん

第一話

自分を愛せないという、言ってしまえば障害に近い個性を持って生きてきました。

私にとって世界は、いつも私と対立してくる厄介な敵でした。

既に「こんなことを書きたいはずじゃないのに」という意識がものを書く邪魔をしてきます。


最近考えるようになったことの一つに、「私は人間として生きていくことにつくづく向いていないなぁ」というものがあります。


生きているだけで体は痒くなるし心はうずくまるし、まるで「お前の居場所はここじゃない」

と自分で自分の形をした人形をナイフでめった刺しにしているような感覚の中で常に生きています。体についた傷は自傷行為の類の結果なので案外間違いでもないかもしれません。


厄介なのは人形をめった刺しにするその様子が、一人称でも二人称でも三人称でもどの視点から見てもあまりに醜いことです。私が最近考えるようになったことの二つ目が「自分は鏡で自分の顔を見られないなぁ」ということでしたから、多分これは私の性です。


私が見たドラマの登場人物の一人に退役軍人がいました。戦争の経験が元でPTSDになり酒浸りの生活を送っていましたが、彼は腕を掻き毟る癖があったようです。問題はここからで、私は戦争に行ったわけでもないのに彼の数百倍は体を掻き毟っているということです。原因が分からないままずっと苦しみを背負い続けることほど辛いことはないので早く治すか死ぬかしたいと思う次第です。


私のことをどれだけ懇切丁寧に説明したとしても誰も私の本当の部分を理解してくれなどしないし痛みに共感もできないし、あるのはただの浅い哀れみなのだと思います。世界は今日も私にとても厳しい、あるいは無関心です。


灰色になった街を背景に悲しみの涙を流せるほどセンチメンタルでもいられないのが私の悲しいところで、「悲しさをまともに享受できない」という悲しさでしか泣けなくなったことが私にとって一番悲しいことかもしれません。愛はそこにあるはずなのに受け取ろうとしない体と心が悲しくて仕方がありません。要するに自分が嫌いです。


泣くしかない。体を掻くのは何の解決にもならないから。こうやって少しずつ自分を否定する杭を心に打ち込んできた代償が、今心と体に(ぽっかりとなんて美しくではなく)ボロボロに空いてドロドロに汚れた穴たちの笑い声に苛まれる午前二時の不眠症なのだと思います。


何も解決しない人生と戦う元気が失せてきました。どうか幸せに。

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独房 まーくん @maakunn89

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