第10話「絶対に」

「私はさ、静流が思ってる以上に、静流の事愛してるんだ」

 夜を引きずってか、私は朝食のタイミングでそんなことを静流に打ち明けた。当然静流は不思議そうな顔をするし、私自身考えなしの呟きだったので、自分に意表を突かれるといった感じだ。

「静流は目が見えていたら仲良くなれなかったって、思ってるんだろうけどね。私はむしろ、目が見えるようになって、目を合わせて笑いたいよ」

 仕方ないのでそのまま本心を、言葉を選ぶ間もなく打ち明ける。脳から直接口に出す言葉たちは、自分でも自覚していないもので、漠然としていた「好き」という感情は、これほどに強いものだとは思ってもみなかった。

「私をもっと知ってほしいし、二人の世界を共有したい。ずっと二人でいろんなものを分かち合いたいんだ」

 静流の手をぎゅっと両の手で握りしめると、一瞬驚き静流は嬉しさに笑顔をほころばせる。私の想いが伝わってくれたのだろう。安心してくれたのなら、私も嬉しい。

「ありがとう。ずっと不安だったの。この目が治ったら、私は一緒に居られないんじゃないかって。でも、違ったんだね」

 そうだ、私も静流とずっと一緒がいい。私たちはもう、一緒でなくてはならない程に、強く結ばれてしまったのだから。

「ずっと一緒だよ、静流」

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