土曜日「フリーコーナー」
第13話「神様の悪戯心」
(どうか可愛い女の子と巡り会えますように)
三が日と大きく外れた休日、私は混んでいないのをいい事に、今更初詣を済ませる。まったく罰当たりな性格な上に、願いまで低俗だなと、自分を見つめ直してため息をこぼす。しかし、仕方ないではないか。女の子同士で付き合えるなんて滅多にないのだ。神頼みだってしたくなる。
「じゃあ、私が御前さんと付き合うてやろうか」
特にやることもないのでそそくさと帰ろうとすると、本殿の方から声がする。まさか望みが声に出ていただろうかと思うが、だからってそんな風にはからかってはいけないだろう。
「あのね、そんな上からな人と付き合う気なんてないですから、からかわないでもらえま、す、か」
振り向くとそこに居たのは、神様だった。袴姿に後光をたたえ、見下ろすような視線で私を見据える姿は、見紛うことなく神そのものだろう。しかし、神が賽銭箱にどっかりと座りこんでいるのは如何なものか。
「まあまあ、お眼鏡にかなう程度には美人だと思うんだが……違うかの」
そう言って服装や自らの身体を見回しながら神様は私に問う。
正直に言うと、とんでも無く綺麗だった。和服美人であどけなさを残しながらも成熟した女性を思わせる雰囲気は、私の目を釘付けにした。
「少しだけ、考えさせてください」
私は、人混みのない日に来たことに、少しだけ味をしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます