土曜日「フリーコーナー」

第13話「神様の悪戯心」

(どうか可愛い女の子と巡り会えますように)

 三が日と大きく外れた休日、私は混んでいないのをいい事に、今更初詣を済ませる。まったく罰当たりな性格な上に、願いまで低俗だなと、自分を見つめ直してため息をこぼす。しかし、仕方ないではないか。女の子同士で付き合えるなんて滅多にないのだ。神頼みだってしたくなる。

「じゃあ、私が御前さんと付き合うてやろうか」

 特にやることもないのでそそくさと帰ろうとすると、本殿の方から声がする。まさか望みが声に出ていただろうかと思うが、だからってそんな風にはからかってはいけないだろう。

「あのね、そんな上からな人と付き合う気なんてないですから、からかわないでもらえま、す、か」

 振り向くとそこに居たのは、神様だった。袴姿に後光をたたえ、見下ろすような視線で私を見据える姿は、見紛うことなく神そのものだろう。しかし、神が賽銭箱にどっかりと座りこんでいるのは如何なものか。

「まあまあ、お眼鏡にかなう程度には美人だと思うんだが……違うかの」

 そう言って服装や自らの身体を見回しながら神様は私に問う。

 正直に言うと、とんでも無く綺麗だった。和服美人であどけなさを残しながらも成熟した女性を思わせる雰囲気は、私の目を釘付けにした。

「少しだけ、考えさせてください」

 私は、人混みのない日に来たことに、少しだけ味をしめた。

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