第9話「今は違う」
「出ていくって、どういう事」
私はあげはの言葉に納得出来ず、慌てて問い詰める。だって、今の今までずっとなんだかんだ仲良く過ごしてきたじゃないか。なのに、なんで急にそんな事を言われなければならないのだ。お別れにならなければいけないのだ。
「ずっと頼りっきりはいけないしね。まだ今後どうなるかは分からないけど、今までありがとうございました」
ずっと頼りきり? そんな訳ないだろう。私はずっと助けられてるし、二人で居る生活以外がもう考えられないのに。
「それに、愛なのか慈悲なのか分からないって言ったのは優花だよ。そういう迷いがある時点で、それを愛とは呼ばないと思う」
あげはの言葉に何も返せなかった。愛だと言いきれない愛はない。そう断言はできないが、慈悲と迷うような愛があってたまるかと言うあげはの気持ちは、よくわかる。
「でも、好きならそれでいいって、言ってくれたのはあげはだよ。その時ばかりの言い訳でも構わない。惰性バンザイだし、好きだから一緒に居たい。それじゃダメなの?」
私は勢いのまま畳み掛ける。あげはと一緒に居たい。その為に、並べられる言葉を全て並べて、できることを全てやって、どうしても繋ぎとめなくては。
「だからお願いだから、一緒に住んで欲しい」
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