第7話「気付けば……澪×千尋」

「久しぶりの再会を祝して、乾杯」

 丁度よく二人揃って会う機会を合わせられたので、私と同期の澪は飲み会に来ていた。研修の時以来なので、もう一年近く会っていなかったので、結構懐かしさを感じる。

「千尋は、給料をどう使ってるの」

 二人で酒を交し、つまみに箸を伸ばすと、澪は話題を提供する。しかし、どう使ってると聞かれて簡単に答えられるような事だったらと、援交に消えていくお金を悔やむ。いや、援交では無いのだが、かと言って説明しにくい。

「まあ、自分の好きなように使ってるかな。澪はどうしてるの」

 私は、結局はっきりと言えないまま、澪にバトンを渡す。すると澪は少し悩み、首を傾げる。そしてチューハイを一口、話し始めた。

「上司にチョコ送った。凄い喜んでたよ」

 それは、どうなんだろう。何か下心というか、あるのだろうか。そもそも男性? それとも女性?

「なんか、良かったね?」

 私はどう答えたらいいか分からずそう返すが、どうやらそういう訳でもないらしく、澪は首を振っていい訳ないよと言い返す。

「私ね、噂されてんの。その上司とできてるんじゃないかって」

 なんということだ、やってしまったじゃない澪ちゃん。まさか、異性に手作りを上げてしまったのか。しかし、本人にその気はあるのだろうか。私はそれが一番の問題だと思うのだが。

「まあ、実際嫌いじゃないからなんとも言えないんだけど」

 私は、苦笑いを浮かべるしか出来なかった。

「ま、まあ、頑張って」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る