第7話「愛なのか、慈悲なのか」

「私達の関係って、どういうものなのかね」

 バレンタインデートの帰り、私はふとそんなことが気になってしまい、立ち止まってあげはに聞いてみる。

「どういうものって、どういう意味よ?」

 あげははなんと答えていいのかわからなかったのだろう。首を傾げて私に聞き返す。どんな意味って、どんな意味で聞いたのだろう。パートナーに見える私達が、本当の意味でパートナーなのか、という話だろうか。

「じゃあ、質問を変えてみよう。私達って、愛し合って一緒に暮らしてるのか、それとも私のただの慈悲なのか?」

 勿論始まりは、私の慈悲からだった。夢に向かう姿勢と、夢に届くためには頼りない足場を見ていて、私はいてもたっても居られなくなったのだ。

 しかし、今の私はどうだろうか。あの時程の衝動はないし、寧ろ惰性で同居しているような気さえする。その一方で、居なくなった時のことを考えると、言いようのない寂しさにかられるのも事実なのだ。私のこの想いは、愛なのだろうか。

「あんまり考えすぎてもきつそうだけどね。好きなら好きで、いいんじゃない」

 あげはは私の葛藤など知る由もないのだろう。そう軽く答えて、早く帰ろうと私の手を取る。全く、考えが足りないというか、シンプルに考えられるというか、少し羨ましい。

「私はそんなあんたが好きよ」

 そう呟いた声が聞こえたかどうかは、それこそどうでもいいのだろう。

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