第18話「友チョコ⇋恋チョコ」

「はい、親友のよっちゃんに、一番友チョコを進呈しまーっす!」

 はいどぞ。と、みっちゃんが私にチョコレートをくれる。他の誰よりも気合いを込めて作ったらしく、ラッピングもクラスの子に配り回っている物よりも綺麗な物だった。うん、いつも通り、例年通りの一番友チョコだ。

 普通ならそれだけで喜ぶべきなのだろうが、友チョコの域を出る事がないという事実に、私は嘆息してしまう。やはり同性の私では、本命にはなれないんだと、毎年自覚させられる。

「じゃあ私からも、はい、チョコレート」

 これまたいつも通り、私からみっちゃんへと手作りチョコレートを返す。何チョコとは口に出して言わないが、これは友チョコでは無い。

 私は、みっちゃんに恋をしている。同性になんて、と私も自覚した時思ったが、この想いとも長い付き合いだ。今更どうこうと言い訳しようとも思わない。私はみっちゃんが好きで、毎年本命のチョコレートを贈る。絶対に実らない恋のチョコレート。愛情やら想いやらを込めて作っても、それが伝わるとは限らないし、むしろそれが伝わる事の方が、少ないだろう。

「今年もありがとね、よっちゃん大好き!」

 ああ、今年も、こんなに虚しい大好きを聞かなくてはならないのか。本当に、私の想いが伝わればいいのに。

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