第16話「聖園と穢れの少女③」
「私、出ていこうと思う」
数日の後、私が悩んでる間にマリナが出した結論は、想定以外どころの騒ぎではなかった。だって、ずっと私と結ばれたくて、だからあんなにしつこく付き添っていたのに、どうして急にそんなことを言い始めるのか。
そう思うと、私は驚きのあまり全く動く事が出来なかった。
「あまりに場違いというか、私の性格はそぐわないみたいだからね。それに、一緒にいたら諦められないから」
伏し目がちに話す姿は、諦めたくない意志がヒシヒシと伝わって来て、見ていられなくなった。私が、認めてあげられたら……
「あ、勿論私に慈悲とかかけて想いを認めるとか無しね。私は本気だから」
それは当然だ。私だって、信仰心を軽んじられたら傷つくし、本気で向き合って欲しい。だから、ちゃんと考えるんだ。むやみに否定する事も、情けで肯定する事もせず、本心と向き合う。マリナのでは無い。私の、本心。
「私は……マリナに行って欲しくないです」
私が一番最初に思ったのは、その1つだった。いつも迷惑だとか冒涜だとか言ってはいたけど、でも、嫌じゃなかった。
「私は、いつも滅茶苦茶言って、困惑させて、誑かして、迷惑な事ばっかりなマリナが、それでも心地よかったんです!」
私の勢い任せな告白に、マリナは困惑する。
「神に対して浮気したんだから、責任とってくださいね」
私は、重罪を冒した。神への冒涜だ。凄く悪い子だ。でも、マリナの言う通りだった。
身近な人に恋するって、こんなに心弾むんだって、初めて知った。
「勿論、大事にする。私の女神様」
マリナのハグは、とても暖かかった。
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