第4話「想定外の変化」
あれ以来、私の職場生活は大きく変えられてしまった。というのも、裕美が少し大胆になったのだ。
例えば、ロッカーを見ると弁当が毎日入れてある。前に味をしめたのかよく分からないが、どうやら新しい弁当箱を買ったようで、前の箱とは違っていた。
「澪さん、昼食、どうかな」
これもだ。最近よく昼食に誘われるようになった。それも、皆の前で堂々と誘うのである。お陰で私は裕美のお気に入り、という評判を受ける事になる。
私としては、あまり目立たず、関係性も他人でありたかったのだが、こうなってしまっては否定する事も不自然になってしまう。故に、私は笑って過ごすしかないのだ。
「裕美さん、最近距離が近すぎませんか」
昼食中、私は裕美を問い詰める。そもそも私達は隠れて会う時以外は非接触を心掛けるという手筈だったのだが、些か近付きすぎなのだ。
「でも、お気に入りとして広まれば、多少近付いても問題ないでしょう。同性を疑うはずはないって、言ったのは澪ちゃんだし」
む、確かにそう言ったのは私の方だったか。いや、だからって不用意に近付きすぎたら流石にバレる時も来るかもしれないじゃないか。
「そもそも澪ちゃんは気にしすぎなんだよ」
そう言って、笑いながら裕美は私の頭を撫でる。
まったく、困った変化だ。
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