第3話「アルバム」

「優花、アルバム見つけた」

 私が帰ると、あげはは嬉しそうに私達のアルバムを抱えて出迎える。

「おい、おいおいおい。私は何を頼んでいたかなあげはさん」

 私は怒りを顕にあげはの肩に手を置く。まったくどうして掃除というものは中々集中できないものか。こればっかりは流石にあげはを全否定する訳にも行くまい。

「まあ、思い出を振り返るのも悪くないか」

 とりあえずソファに座って休み、ため息と共に笑みであげはを許す事にする。するとはぱあっと笑顔を咲かせて喜ぶ。むう、花は私で彼女は蝶なのだが、花みたいな笑顔を浮かべるのは、彼女の方が上手いみたいだ。

「優花、この写真、私達の出逢いだよ!」

 そう言って、あげはは物思いに耽ける私に半ば強引に写真を見せる。その写真には私とあげはのフォーマルスーツの姿が写っている社内の新人集合写真だった。

 そういえば、あげはも最初は私と同僚だったのか。それが出逢いで、それでいて、私が蝶に蜜をあげる花になるきっかけだったのだ。

「あげは、やっぱりこういうぴっちりした服似合うよね」

 そこに写るあげははとても凛々しくて、私は彼女に声をかけたのだ。仲良く仕事が出来たらと思って声をかけたらこの有様である。少しずつでも稼げていなければ私はあげはを追い出していただろう。

 新卒の頃だったから、3年前になる。

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