第3話「アルバム」
「優花、アルバム見つけた」
私が帰ると、あげはは嬉しそうに私達のアルバムを抱えて出迎える。
「おい、おいおいおい。私は何を頼んでいたかなあげはさん」
私は怒りを顕にあげはの肩に手を置く。まったくどうして掃除というものは中々集中できないものか。こればっかりは流石にあげはを全否定する訳にも行くまい。
「まあ、思い出を振り返るのも悪くないか」
とりあえずソファに座って休み、ため息と共に笑みであげはを許す事にする。するとあげははぱあっと笑顔を咲かせて喜ぶ。むう、花は私で彼女は蝶なのだが、花みたいな笑顔を浮かべるのは、彼女の方が上手いみたいだ。
「優花、この写真、私達の出逢いだよ!」
そう言って、あげはは物思いに耽ける私に半ば強引に写真を見せる。その写真には私とあげはのフォーマルスーツの姿が写っている社内の新人集合写真だった。
そういえば、あげはも最初は私と同僚だったのか。それが出逢いで、それでいて、私が蝶に蜜をあげる花になるきっかけだったのだ。
「あげは、やっぱりこういうぴっちりした服似合うよね」
そこに写るあげははとても凛々しくて、私は彼女に声をかけたのだ。仲良く仕事が出来たらと思って声をかけたらこの有様である。少しずつでも稼げていなければ私はあげはを追い出していただろう。
新卒の頃だったから、3年前になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます