第2話「たまには私が」

 仕事が上手い具合に片付かず、久しぶりに残業をして帰ることになった。あげはには軽く夕食を済ませておくように言っていたが、まさか一人では何も出来ないというわけではあるまい。

「ただいま」

 静かに賃貸の自宅に入るが、中では電気がついていた。まったく、夜更かしも程々にするように言おうと思いリビングに行くと、あげははテーブルに突っ伏して眠りこけていた。

「あ、優花、おはよう……ご飯用意しておいたよ」

 目を覚ましたあげはのその言葉に、私は怒ろうに怒れなくなってしまう。まさかいつも面倒くさがりで私無しでは生きていけないのではとヒヤヒヤさせるあげはが、私に夕食を作っておくなんて、考えてもみなかった。

「私としては結構美味しくできたと思うんだけど、やっぱり優花には勝てないね。あれ、優花?」

 私が驚きのあまり立ちつくしていると、あげはがダイニングに移りながら不思議そうに見つめる。ハッとしてダイニングについて行くと、少し不格好なオムライスが準備されていた。

「まったく、まだまだだね、あげはは」

 椅子に座り、温められたそれを食べ始める。味は、やっぱり少し私には劣るが、なかなかに美味しくできている。優花は、美味しそうに食べる私を見ると、嬉しそうに微笑んだ。

「いつもありがとね。お疲れ様、優花」

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