一日ひとつの百合物語:第二期
an=other
月曜日「養い百合」
第1話「寝正月と勤勉な私」
1月6日、朝6時。私は目を覚ますと、すぐに朝食と弁当の準備を始める。年末年始の休みが短すぎることはまあ、今に始まったことではないし、何も言うまい。
だが、文句が無い訳では無い。主に、共に住まう彼女に対してだ。
「あれ、優花朝早い……まだ正月だよ」
そう言って私の彼女、平野あげはは起きてくる。寝惚けながら呑気に話す彼女に、私は最後の我慢が切れた。
「私はもう休み明けだよヒモ! 働け!」
「ヒモじゃないもん、働いてるもん!」
そのまま少しの間睨み合う。そして少し深呼吸。落ち着いてから、ため息ひとつ。
「まあ、そうだけどさ。だらけ過ぎないでよ」
そうして一言注意してから、あげはの分も朝食を用意する。在宅業、というより、クリエイターと言えばいいのだろうか。あげははそういう仕事をしている。故に、休日の取り方は自由だ。だからまあ仕方ないのだが。
「悪かったって、ごめんね」
そう言ってあげはは私の頬にキスをする。それで誤魔化そうとしているのだ。いつもいつも、全く軽薄な。
「それ以上はなしだから。帰ってくるまで我慢してなさい」
続けざまに唇を奪おうとするアゲハを怠惰の罰だと言わんばかりに制止する。
「じゃあ行ってきます」
「はあい。行ってらっしゃい」
そんな毎日を刻む、私とあげはの同棲生活である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます