第6話
「不変」
懐かしい記憶を思い出していた京子は、メールが途中までだったことに気付く。
メールの相手は、解体したばかりの作品の買い手であり、京子の作家活動のパトロンでもある伊集院という男だ。闇サイト経由で繋がった金持ちの投資家だ。
京子と同じく女体のホルマリン漬け愛好家だが、収集専門の代わりに危険を犯して解体している作家達に資金や場所を提供してくれている。
京子もアトリエを構えている敷地と、作品の残骸を処理する裏山を譲り受けた。
本当は一人で完結するものにしようと考えていた京子だが、興味があるのが手足だけなこと、逆に伊集院は手足のないだるま状態の女体が好きなことと、資金繰りや処理する土地の問題を一手に引き受けてもらえるという利害がお互いに噛み合ったことで、共犯関係が出来上がった。
直接言葉を交わしたのは数回だけだが、同じ趣味の人間がいるという安心感と支援してもらえることで信頼を感じられた。それだけで作家活動を揺るぎなく続けられている。その感謝の気持ちを込めながら、新しい作品の完成報告をメールに書き綴った。
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