第5話 Plastic Love

自分はいつでもそこに立ち止まって理想と現実、また過去を振り返りながら今を生きている。


本屋に並ぶ自己啓発本の様な薄っぺらい人が苦手で、彼はそういう人間だった。

正義感が強く、自分の非は一切認めず、自分はこれだけの努力をしていると責任を押しつけてきた。

そして、母親の言うことを必ず聞き入れていた。


彼とは長い間付き合ったと思う。

家族以外で時間を共にし生活をしたのは彼が初めてだった。

東京での生活は彼と共にスタートした。

付き合ってすぐにお互いの転職が決まり、東京を勤務希望地として2人とも転職活動をしていたこともあり2人で東京で暮らすことにした。

親の反対や周りの人の助言などは一切聞かずに勢いで東京へ出た。


同棲というのは初めてで戸惑ったが、彼と一緒に生活ができてずっと一緒にいれると思うと、とても嬉しかった。


でも私は結婚に急いでいた。

田舎出身の私の友達の多くはもう結婚をしていて、子供がいるからと常に周りと自分をインスタグラムのストーリー越しに比べて他人の幸せを羨んだ。


彼は、結婚や家庭など全く考えておらず

一緒にいたい人と時間を共にすることが出来ればいいし友達や周りの女の子にも優しかった。


誰にでも優しいは私には優しくないことだ。


「ちゃんと将来のことお金のことを考えている?」

と彼に聞いたことがある。

お金なんて自分の服や趣味に費やしていたし、お金の管理のルーズさは何ヶ月後も変わらなかった。

こっちへ出てくる時の引越し費用なども貯めていた貯金から私が出していた。

彼は貯金など一切していなかったし、結婚を考えてから貯めれば良いと彼は思っていた。


東京に一緒に来た時点で私はもう、理想の将来を頭いっぱいに、それはもう上京する時の荷物よりも多く詰め込んで来たのだ。

その現実とのギャップにいつも落胆させられ不安になり、彼といても上手に笑えなくなってしまった。


彼の事は大好きだったけど私は彼に嘘をつく事もたくさんした。

そこは女も男も実は変わらない。

関係性を保つ為に必要な嘘。


お別れはもうすぐそこ。

暖冬と言われ例年よりは暖かい冬の日、彼に別れを告げた。

今度は幸せにしてもらえるかな。

ごめんね元彼氏。


終わりだけど始まるのあなたがいない生活が

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