第7話 レベルとステータス

攻略までの流れを決めるためにユウキが最初にしたのは


「先ずは皆のレベルと、ステータスポイントの振り分けを教えて。最初は魔術師の貴女から」


全員のステータスの確認だった。

「3LO」では、レベルが一つ上がるたびにステータスポイントとして3ポイントが与えられる。

これをSTRVIT体力INT知力AGI素早さDEX器用さLUCの中から選んで割り振ることで、プレイヤーを強化することができる。

ステータスポイントの振り分け、所謂ステ振りである。

一つに集中して振ることで、火力特化キャラや回避特化キャラなどにすることも可能だ。

当の5人はというと。


「あ、はい。私のレベルは23です。ステータスはINTが少し多めで、それ以外はほぼ平均的に振り分けています」


「次は戦士の貴女」


「レベルは27です。私はSTRとVITが多めで、逆にINTとDEXは低め、AGIとLUCはその中間ぐらいです」


「次、治癒士」


「ウチは19やわ。レベルちょっと低いねん。ステはINTとLUC特化。一応他もちょっとだけ振ってるけど、雀の涙程度やわ」


「フムフム。次、狩人」


「あ、あたしは25よ!STRとAGIとDEXが多めでINTとLUCはほとんど振ってないわ」


「で、最後が盾士の貴女ね」


「……22。VITに8割、残りはAGIに全部」


「なるほどね~」


メモを取りながら聞き取りを終えたユウキは、顎に手を当て思考する。


「一応はそれぞれの職にあったステを伸ばしてはいると。うーん、だけどなぁ」


そして一言。


「はっきり言ってレベル低すぎ」


「うっ……分かってはいるんですけど、そこまではっきり言われるとちょっと凹みますね」


「まあ仕方ないわよ。下手に過信されるより、現実を受け止めてもらった方がいいし」


凡そ20前後というレベルは、首都まではなんなく辿り着けてもそこより先に進むには些か不安が残る強さだった。

ユウキの調査では、でのボスの攻略推奨レベルは65~70。

自力クリアには程遠い状況である。


「というわけで。レベリングするわよ!」


ユウキがその結論に至ったのは至極当然だった。






首都ストーリアから1時間ほど歩いた先にあるフィールド。

カリン5人組を引き連れてユウキが向かったのは、素人でも戦い易い見通しの良い草原だった。


「さあ、早速レベリングを。と行きたいところなんだけど」


「何ですか?」


「まずは貴女たちの実力を見せて。タンクに前衛火力、後衛火力、ヒーラーと良い具合のバランスでジョブが揃ってるんだから、即席のパーティーを組むには丁度いいでしょ?」


「ええっ?私たちだけで戦うんですか?」


「そうよ」


「で、でも私たち、戦うのは苦手で」


「それは分かるわよ。得意ならその程度のレベルで収まってるわけないからね」


「だったら」


尚も食い下がろうとする魔術師カリンだが


「まぁまぁ、危ないと思ったら途中で私が助太刀するから。それに、現在の実力も分からないままじゃ、ラスボスの所なんて危なっかしくて行けないよ」


その言葉を前に押し黙る。


「大丈夫大丈夫。まだこの辺はそんなに強いモンスター出ないから」


「ううっ、ホントに危なくなったら助けてくださいよ?」


「はいはい」


魔術師カリンが涙目で訴えてもユウキはどこ吹く風だ。


「そうそう、言い忘れてたけど、貴女たちも出来るだけ頑張ってね。依頼対象のカリンちゃんじゃなくても助けるって私は言ったけど、美味い話に乗っかって脱出できるなんて思わないこと。真面目に頑張らないと」


他の4人にしっかり視線を合わせたユウキは


「死ぬわよ?」


そう釘を刺すのだった。

突然の宣告に息を飲んだ5人は、その真剣さに文句を言うこともできず、ユウキの指示通り即席パーティーで戦闘を繰り返す。

30分ほど経過したところで


「はーい。そこまででいいよ。大体分かったから」


漸くユウキの声がかかる。


「や、やっと、終わった」


短時間の戦闘とはいえ、戦闘が苦手な5人は既に疲労困憊。

大きな負傷もなく、無事戦闘を終えたことに安堵していたのだが


「これじゃなかなかレベル上がんないわけだわ。よし、明日からはもっと頑張らないとね。5日間でレベル50まで上げるよ!」


次に待っていたのは、スパルタレベリング地獄の宣告だった。


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