【2回表】2球目

小学生1年生の頃、硬筆でクラスの代表と選ばれたことが最初だっただろうか。私が選ばれたことを母は大層喜び、そこから学業に対して厳しくなったように思う。私の好奇心が先か母の教育熱心が先かわからないが、習い事の数が日に日に増していった。今思えば母が見つけてきた習い事の方が圧倒的に多く、習字、珠算、水泳、塾など知り合いから情報をもらってきては私に提案していた。ちなみに私が自らやりたいと懇願したのはピアノと進研ゼミであった。どちらも両親に渋られたが私は伝家の宝刀「うちってお金ないの?」攻撃が両親に効くことを知っていた。ただ、進研ゼミだけはどんな手を使っても6年に渡って何度アプローチをかけてもやらせてもらえなかった。(今思えば、進研ゼミやりたいと子供が懇願しているのにやらせない親ってどうなんだ。笑)私は母から提案された習い事はほとんど首を縦に振っていたが、唯一振らなかったのはサッカーであった。


サッカーをやりたがらなかったと言えば、私は小学1年生の時リレーの選手に選ばれるより綱引きをやりたくて、わざと遅く走った。それを家で話したら、怒ることを通り越して両親は呆れていたのを今でも覚えている。(今思えば本当に何をやってるんだ。)両親は私にスポーツができるようになって欲しかったようだが、当時私は小学3年生までかなり病弱で毎週のように熱を出していたし、スポーツは私自身が程遠いものだと思っていた。


こんなこともあった。私は小学4年生から始まるクラブ活動で最初のクラブ活動にて、「手芸・調理」を選んだのである。(4粘性から1年に1つ選べ、同じクラブを1年間継続する。)コンピュータークラブと迷ったが、手芸・調理にした。それを聞いた母が嘆いたのは今でも記憶に新しく、母の理想としては【コンピュータークラブ→器楽・合唱→スポーツ系】のようだったが実際に私が選んだのは【手芸・調理→器楽・合唱→器楽・合唱】であった。母の理想とは異なっていたが、5年生で入った器楽・合唱が6名しかおらず、かつ部長だったか副部長を任され、6年生でも続けて欲しいと担当教員から頼まれたこと、6年生の際には部員が30名くらいまで増えていたこと、部長だった私は運動会で鼓笛隊の花形である指揮者をやったこと、それらのことで母は結果満足していた。(母の満足が私のクラブ活動と紐づいていることが意味不明だが。)


上記のように自らスポーツを選ぶことはなかったが、小学校3年生くらいから、両親の教育熱心の結果、私は勉強ができないといけないという思考に変わっていった。それに伴い学級委員などもやらないといけないと刷り込まれていたし、勉強だけではなく運動もそれなりにできなければならないと思い始めていた。刷り込み教育の賜物か、小学校6年生の時の水泳大会でも小学校メンバーの中で2番目に早いとして団体戦で地区で優勝したり、地区のリレー大会も選出メンバーだったがチームで2番目に早い状態であった。(何をやらせても2番というポジションであり、今もそういうところがあるが、すでにここから始まっていた。)


習い事やクラブ活動の話になったので、中学生まで話をしてみる。当時私は合唱部に入部する予定であった。我が校はなかなかの強豪校で、全国大会の常連校だったし、何個か上の先輩たちは、代表でハンガリーに行っていた。私は小学校で器楽・合唱だったし、何よりハンガリーに行きたいというミーハー心から合唱部に入部する予定でいた。しかし、私の計画に横槍が入ったわけだ。母が「合唱部だとスキーができなくなる。」「中学は身体作った方がいいから運動部に入った方がいい。」などほぼ洗脳され、私はソフトテニス部に入ったわけである。当時それなりに負けん気の強かった私は運動神経が部のメンバーより圧倒的良いとは思わなかったが、毎日の自宅での素振り100回と自主練などでレギュラーの座を勝ち取り、県大会出場を決めた。ソフトテニスはなかなかハマり、休み惜しまず練習していたことはよく覚えている。


当時は何も考えていなかったが、私自身自分で選ぶものは、ピアノ、手芸・調理に

器楽・合唱、合唱部となかなか屋内のものが多い。私は自分で何もかも選んでいたらスポーツをやることはほとんどなかったし、その辺りは母に感謝すべき点もいくつかある。ただ、振り返ると自分で決めたことはほとんどなく、(というかやりたいことが他にあるのに別のものを選んでいたというわけだが)母の希望の人生を歩んでいたようだ。


刷り込みでやっていたから2番目も当然であり、その癖が今でも付いてしまっているということがよくわかった。


今回は習い事や部活などにフォーカスしたが、次回は他の観点から小学校を振り返ろうではないか。

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