【2回表】1球目
小学生にあがった頃から、私は父と出かけることを楽しみにしていた反面、父と一緒にいる時に人と会うことが嫌だと感じるようになった。
会いたくない人がいるということではない。父と一緒に出かければ、必ず父の知り合いに会い、みんな口を揃えて「お孫さん?」と聞く。必ずだ。「娘さん?」と聞かれたことは私が記憶する限り1回もない。
逆も然りで、私の知り合いに合えば、必ずと言っていいほど「おじいちゃん?」と聞かれた。こちらは私が記憶する限り「お父さん?」と聞かれたことは稀だ。
周りの言葉に過剰反応して、私は自分の父が友達の両親に比べて歳を取っている事実を恥ずかしいと思うようになった。特に小学生あがりたての時期でとてもナイーブだった私の心に「お孫さん?」「おじいちゃん?」という言葉は鋭く刺さった。
私は小学生低学年だったが、「将来はあまりにも歳上の人と結婚することだけは避けよう!」と心に決めたのである。
ちなみに私は心に決めたことが歳上との結婚以外にもう1つある。これは(将来の私が忘れなければ)後日詳しく記載するが、親しかった友人のお父さんが浮気しており、お母さんは専業主婦だったために離婚できない状況だった。お父さんは社長で家も豪邸と非常に裕福だった。今思えば本当におかしな話だが、あの瞬間、中学2年生の私は「いつ何が起きてもいいように、自分で稼げるようにしよう!」と心に決めたのである。(どんな理由でどんな中学生だ。)
話を戻す。小学生の私は父親が歳をとってることが恥ずかしいという気持ちを常に持っていたが、当時の私がそれを誰かに話すことはなかった。話したらきっと両親は悲しむと思ったし、「おじいちゃん?」と聞いてくる友人たちにそんな話をするということは思いつきもしなかった。
そんなこともあり、自分が政治家の娘だということも人に言いたくなく、私は1時間かけて通学する高校を選んだのである。
次回はまた小学生の思い出を話すとしよう。
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