第2話

「おい、なんのつもりか知らないが詐欺なら間に合ってるぞ」


「詐欺ではありません」


「じゃあドッキリか?どこのTV局かしらんが許可した覚えはない、事と次第によっては訴える事になるぞ」


「ドッキリではありません、それに、TV局には誰もいないと思いますが」


「は?なぜ?」


「選ばれなかったからです」


「選ばれなかった?」


そう言えば、こいつはずっと選ばれたとかなんとか言ってたな、どういう意味なんだ?


「何に選ばれなかったんだ?」


「選別です」


「なんの?」


「人間の」


え?人間の選別?


じゃあ、こいつは人間ではないって言ってるのか?


「おい、面白いドッキリだな」


「ですからドッキリではありません」


「いやいや、そんな安い宇宙人の衣装で騙されるものか」


「いえ、あなたが見ているのはあなたが考えつく未知の生命体の概念を具現化したもので、それが陳腐ちんぷに見えるという事はつまりあなたの発想力がちん……」


「まてまて!なんでそうなる!ヘンテコ宇宙人!」


「宇宙人ではありません」


「じ、じゃあなんなんだよ」


「ある意味地球人です」


「はあ?」


「驚くのもむりありませんがずっと地球に住んでいました」


「どこに?まさか地底とかか?」


「いえ、地上に」


「しかし……」


「今まで同じ地球上に居ましたがこちらからはあなたがたは見えていましたがそちらはこちらを見ることは出来ない様でした」


「なぜ?」


「次元が違うので」


「は?次元が……違う?」


「そうです、つまり宇宙人ではなく異次元人です」


俺は絶句した。



異次元人だと?


あれか?三次元の先の四次元のアレだな?


そうそう、わかるわかる……


「わかるかボケィ!」


「どうしました?突然大声をだして」


「い、いや何でもない、すまない」


「いえ、大丈夫ですよ、私達は皆、温厚です。文字通り次元が違うので」


「はぁ、なんか腹立つけど。その……温厚な異次元人が俺に何の様なんだ?選別ってなんだ?俺はこれからどうなる?」


「質問が多いですね」


「当たり前だろ」


「まず、選別というのは文字通り選んで分けたのですこの世界に住むべき人間を」


「住むべき?じゃあ他の人はどこへ?」


「もはやこの世界にはいませんねぇ」


「はあ?じゃあこの世界には選ばれた百人しかいないのか?」


「そうなります」


「ふ、ふふふ、ふはははは」


「おや、もう壊れました?」


「壊れてない!面白いから笑ったんだ!」


「そうですか……残念、何が面白いんです?」


「そりゃ、笑うさ!こんな茶番を笑わずに居られるか!……ていうか、今残念て聞こえたけど」


「そうですか、信じてもらえませんか」


「おい、誤魔化すな」


「ではこれを見てどう説明されますか?」


いきなり、壁一面に画面が垂れ下がっている未だ市場には出回っていない6Kのテレビ画面が文字通り大きく映し出された。


垂れ下がっているというのは紙のような薄さなのでそう表現するしかないのだ。




「なんだよ、なんの変哲も無いスタジオが映っているだけじゃ……」


そう、言いかけてその異常さに気がついた。


たしかに、お昼の番組でよく見るセットが映っているだけだ。


しかし、誰も座っていない。


それより、問題なのは、こんな放送事故みたいな画面がずっと流され続けている事実。


本来なら、コマーシャルに変わるか、もしくは「しばらくお待ちください」の画面になっているはずだ。


俺はチャンネルを次々と変えてみたがどれもこれもセットだけ。


「これで、信じてもらえましたか?」


テレビ画面を観ながら俺は呼吸が荒くなっているのを感じていた。


俺は堪らずテレビを消した。


「いや、まだだ、まだ信じられん!」


「おや、疑り深いですねぇ」


「当たり前だ!」


俺は取るものもとりあえず部屋を飛び出した。





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