100人に選ばれました

ハイブリッジ万生

第1話


「おめでとう御座います、100人の中に選ばれました」


ん?何だ今のは?


俺は眠い目を擦りながらベッドの横に置いてある携帯を見た。


おかしい、迷惑メールフィルターが掛かっているはずなのだが。


いや待てよ、そもそも、音声で案内する設定にしてたっけ?


いろいろな疑問が頭に浮かんでは消えたが取り敢えず携帯を確認した。


すると、そこには銀色に輝く何かを着た何者かが映っていた。


え?TV電話?なんで?


こんなコントの宇宙人みたいな格好をする人間に知り合いはいないはずなのだが……。


「おめでとう御座います、あなたは百人の中に選ばれました」


もう一度、よくわからない祝辞を頂いた後に思い至ったのは、恐らくドッキリだろうという結論だった。


しかし、だとすると不審な点がいくつかある。


どうやってセキュリティの高いこの部屋に入り携帯に細工できたのかと言う事。


もう一度携帯をマジマジと見て自分の携帯かどうかを確認した。


前に落として付けたキズもちゃんとあるし、もし、ドッキリだとしたらとんでもなく手がこんでいると言える。


色々な可能性について考えたが、どうもどれも非現実的な事に思い至る。


俺は今の状況が現実かどうか確かめる意味も込めて部屋についている呼び鈴を鳴らした。


呼び鈴と言っても大きな音がなる訳ではなく屋敷全体の至るところで呼んでいることがわかる様になる仕様なので執事のセバスチャンかメイドの誰かが気づいて来てくれる筈だ。


しかし、ややしばらくたっても何の反応もなかった。


俺は少し焦りを感じはじめた。


「おめでとう御座います、あなたは100人に選ばれました」


また例の意味不明な祝辞を受けたあたりで腹が立ってきた。


俺は意を決してその銀色の奴と話をする事にした。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る