第3話 首飾りの謎

「まずタリス・リダースンに会いましょう」

 導かれた先は、プリミアス通り。

 上流貴族の屋敷が立ち並ぶ華やかな辺りだ。

 准男爵家であればさらに一つ西側のアラフィズ通りの、中流貴族の屋敷が建ち並ぶ辺りに屋敷を構えることが多い。

 絵画や隣国との仲介役として富と名誉を得ているからこその一等地ということだろう。 

「リダースン卿はルメスリージュにも邸宅をお持ちですが、比較的よくこちらに滞在されているんですよ」

「エルヴァンスドリスは貴族の第二の社交場と言いますからね」

「その通り! リダースン卿も屋敷を二軒持っています。この屋敷は主に夜会や絵画鑑賞用らしく、もう一軒アラフィズ通りにある方が実生活の場。アルフが剣を振り回したのは、アラフィズの屋敷です」

 自ら剣を抱いて死んでいた犯人は、アルフ・ラーティという商人だ。

 彼はリダースンの趣味への協力者で、リダースンが欲する絵画を代わりに買い付けに隣国に赴いたりもしていたという。

 リダースンが信頼する仲買人として、評価も悪くなく……むしろ上昇傾向にあった。

 ただの取引相手としてのみならず、身分を越えた友人としても交流が深かったというのが周囲の証言だ。

「唯一の生き証人が目覚めてくれたなら、これだけ悩むこともないのですがねぇ」

 苦笑するペルフィールドに導かれ、警邏達が守る門を抜け、見事な庭園を横目に玄関へ。

 常ならば、教育の行き届いた従者達による出迎えを受けるのだろうが、今迎えてくれるのはペルフィールドの部下達だ。

「うっわすごいな、この絵の量。アレみたいだ、ほら、王宮から議場とか美術館とかにつながってるっていう回廊」

 足が柔らかく受け止められる赤色の絨毯が敷き詰められた廊下の両壁に、大小様々な絵画が並ぶ光景は圧巻だ。思わずエディンが漏らした呟きに、

「ジェルシアの回廊ですね。確かにあの回廊には肖像画やら歴史的に貴重な絵画やらから地図までが飾られているって言いますが」

 准男爵の屋敷の廊下を、王家の回廊と喩えるのはあまりにも不謹慎。

 感心しませんねと生真面目なラズウェルが顔をしかめたところで、ペルフィールドが、

「あながち的外れでもないらしいですよ。この廊下はジェルシアの回廊を意識して作られたそうですから。ああ、ほら、ここです」

 中庭に面した舞踏室や待機用のゲストルームの華美な扉を通り過ぎると、屋敷の最奥にずっしりと重い質感の扉が見えてくる。

 扉を護っていた警邏兵がこちらに気付き、敬礼をしてみせた。

「変わりは」

「ございません! 意識を取り戻される気配も、いまだ……」

 報告を受けながら踏み込んだ部屋は、眠り続ける新当主の為に締め切られ、薄暗い。天使が持ち支えるランプも、今は用をなさず沈黙を保っている。

 壁に飾られた小さな絵は小さな羽根が生えた赤子を抱きかかえる聖女の図。

その反対側の壁に飾られている大きな絵には、王の戴冠の儀が描かれている。

 リダースンの紋章が掲げられたカヴァーの下は、上等の寝具。純白に埋もれるようにして、蒼白い顔の青年が眠っていた。

 タリス・リダースン。 

 枕に散らされた柔らかそうな髪は、先のリダースン卿から血を継いでいると一目でわかるトパーズ色。

 大人びた容貌には、儚さが漂う。社交界に出たならば注目を集めない方が難しいだろう。

「彼が、次期……いや、新当主、と申し上げたほうがよろしいでしょうな」

 もうディクス氏は御亡くなりなのだから。

「……確か、他の家人は全て剣で刺された、んだったよな?」

「はい、サングウィン殿」

「軽症だったよな? 顔色は悪いが…」

 首を傾げたエディンの一声で、ペルフィールドの了解を聞かずにアルドが嫡子を覆っていた寝具をはぐって見せた。

「軽症といっても、実はこれといって怪我はないのです。左腕にかすり傷程度。昏倒は、医師によるとショック性だろうと」

「……妙ですね。アルフは入り口から最奥の寝室のリダースン卿を刺すまで、全ての人間を殺したのでしょう? かすり傷があるということは、彼も一応アルフに出くわしているはずだ。だが、無傷だ、と?」

「激しく同感だ、ラズウェル。これはちょーっと妙、だぞ…。……ん?」

 頭脳勝負より体力勝負のほうが得意なんだけど、と呟きながらふとタリスを観察していたエディンは、首を傾げた。

 はだけたシャツの胸元に、光るもの。

 寝台によって胸元を覗き込むと、首元に輝くのは、女性の胸元で輝くべき首飾り。

「女物の首飾り、じゃないか? 凝った細工だな。金の鎖に絡む水色の薔薇……花弁の一枚一枚が宝石でできてるのか」

「や、気がつきませんでした、女物ですか。いや、こういった分野には疎いもので」

 エディンの言葉を受け、ペルフィールドも汗を拭き拭きタリスの首元を注視する。

「まあ、ほっそりしてるからよく似合うし、気付かないのも道理だな。最近は上流のほうでわざと女物に似せた装飾品を身につけるのが流行り始めていると言うし」

 だが、男性用と女性用では作りが根本的に違うのだ。

 反対側に回り込んで同じく覗き込むラズウェルが、薄墨のような闇の中目を凝らして、

「これは多分……アクアマリン、でしょうね。男性用じゃない、女性用の作りです。最高の職人技ですね」

 素晴らしい、と思わず溜息をつく。

 黄金の鎖に絡む蔦も金。その蔦の所々に小さな水色の薔薇が咲いている。

 中央の、最も胸に近い辺りには、ひときわ大きな薔薇が。

 どれも花弁は宝石を研磨して一枚一枚作られている。

 たとえば、質素なドレス姿だとしてもこれを胸元に飾るだけで華やかに輝くことだろう。 

 明らかに、貴婦人の為に作られたとわかる、それ。

 よく見れば、金が汚れてしまっている。血のあと、だろうか。

 目を細めたエディンが思わず独り言のように、

「タリス殿は何で女性ものを身に付けて…」

「どなたかへの贈り物ではないですか? 縁談があってもおかしくない年頃でしょう?」

「アルド、それは身に付ける理由にはならないと思わないか?」

 エディンの呟きに同調して頷いたラズウェルが鎖の血痕を気にする様子で、

「そうですね、隊長のおっしゃる通り。もしこの血痕が留め金にまで及んでいるとしたら、何らかの理由で首につけさせられたという可能性もあるのでは?」

 だとすれば、そこに襲撃の動機があるのかもしれない。

 うまく捜査の糸口を見つけたラズウェルにエディンは表情を輝かせた。

「お、良い事言うな、ラズウェル。副警邏長、この首飾りについて調べてもらえますか」

「承知しました。その日暇をもらっていて事件に巻き込まれずに済んだメイドがいるので、彼女に聞き込みをするよう部下に指示を出しますよ。こちらの屋敷の者よりも事情に詳しいでしょう」

「副警邏長、その間に調書を拝見してもよろしいですか? こちらの屋敷専任の従者や関係者にも、犯人について聞き込みしてあるのでしょう?」

「勿論ですよ。では一緒に来ていただけますか。本部に一度戻ります。なあに、ここからすぐ近くなんですよ。馬車をとばして五分もかかりません」

 ラズウェルはエディンに軽く目配せをして、ペルフィールドと共に慌しく扉の向こうに消える。

 見届けたアルドが、

「では、私はその間にこの屋敷の従者達が首飾りについて知らないか、聞き込みをします。副警邏長の様子だと、首飾りについては聞き込みされてなさそうですからね」

「それもそうだな。頼むわ」

 エディンは命令を与える前にすべき事を察して素早く動いた部下を見送り。

「唯一の生き残り、ねぇ……」

 青年の首で輝く石と似た色合いの目を一度伏せて、エディンは新当主をまじまじと見た。

 皆が刺し殺された中で、唯一かすり傷一つしか受けなかったのは、何故?

 女物を好む趣味ではないとすれば、貴婦人の為の首飾りを身に付けているのは何故?

 アクアマリンは確か、幸せな結婚を約束する幸福の石。

 やはり何故か気になって、エディンは何気無く石に手を伸ばした。

 丁度、その時。

 耳鳴りが静寂を乱して、顔をしかめた、その時に。



 この人は離さないわ。

 やっと見つけたのよ愛しい人。

 この人には、私だけがいればいい。



「な」

 はじかれたようにエディンは寝台から離れ、辺りを見回した。

 部屋はタリスの寝息のみが響いて、他に人の気配はしない。

 か細い、女の声だった。

 ねっとりと耳に絡みつく、ある種の感情を持った……。

 誰かいるのかと、声をあげかけたところで、

 コンコン!

 扉をノックする音に意識を奪われる。

 タリスの胸元を隠してから、

「何だ?」

 警邏兵が顔を覗かせ、申し訳なさそうに来客を告げる。

「あのぅ……副警邏長から、自分が不在の間はサングウィン殿に入室の許可を伺うようにと申し付けられまして」

「誰か来てるのか?」

 さては声の主と何か関係が、と緊張をみなぎらせた時、

「誰かも何も、私はここの屋敷の女中だよ! ただ花を飾りに来ただけなんだから難しい手続きなんて遠慮してもらいたいね!」

 不快感を露にした声が飛び込んできた。

 それと同時にふわっと甘い花の香りがして、警邏兵を押しのけるようにしてふくよかな体を揺らして女中が踏み込んでくる。

 手にしているのは、今一番美しい見頃を迎えた花ばかりを集めた花束。

 鼻息荒く入ってきた彼女は、胸を張ってエディンを睨みあげた。

「私はね、長年ここで働いてる忠実な女中なんだよ。花ぐらい自由に飾らせておくれ!」

「おっと、こりゃ失礼」

 殺意もなく、武器を隠し持っている気配もない。無害だと判断し、愛想良く笑ってみせて、警邏を下がらせる。

「さ、どうぞ中へ。良い香りですね? 彼にお見舞いですか?」

 丁寧な応対に、しかめ面だった彼女は機嫌を直したようだ。

 仏頂面が見る見るうちにほぐれ、温かい笑顔になり、手元の花をエディンの鼻先に掲げて揺らしてみせて、

「ああそうだよ。良い香りだろう? すぐに飾って差し上げたくてねぇ」

「詰めている俺達まで癒されますよ。お名前お伺いしても? ああ、花瓶を持ちましょう」

「ありがとう。イサベル・マリスン。この屋敷には娘の頃から働いてるよ」

 彼女はニッカと最高の笑顔を見せた。

「どこに置きましょう?」

「ああ、その飾り棚に置いてくれるかい?」

 示されたのは、寝台近くの黒檀の飾り棚。金銀で描かれた細かな模様が美しい花瓶がよく映える。

「わかりました。これはどなたかの贈り物ですか?」

「ああ、この花はね」

 彼女は花瓶に水差しから水を注ぎ、手早く花を飾りたてながら、溜息をひとつ。

「本当は自分で飾って差し上げなさいって言ったんだけどねぇ。涙溜めたまま首振って走って行っちゃったのよ。やっぱり縁談の事を知っていて遠慮したんだろうねぇ。本当は心配でならない筈なのに。可哀相なリディ」

「リディ? それって……ええと、確か花屋の? つか、縁談?」

 無造作に飛び出した言葉に、思わず眉を顰めるエディンだ。

「あら! あんたリディを知ってるのかい? そうだよ、画廊通りの花屋の看板娘だよ。私が言うのもおかしいけどね、あの娘は素直で明るくってね。タリス様が恋心をくすぐられたのも無理はないね」

「じゃあ、二人は恋人同士で?」

「秘密のね。私らはもちろん知っていたけどね! 私ら女中は皆二人を応援してたのさ。誰一人だって旦那様に告げ口した奴はいないよ」

 だけど、縁談の話がタリス様にもちあがっちまってねぇ。

 声のトーンを落とした女中に、なるほどと肯きかけた、丁度その時。



 コイビト……?



「っ!」

 ザワリ、と。

 かすかなかすかな痛みのような、感覚。

 それは、例えば、背筋を直接剣先でなぞり上げられたような。

 表情は変えずに素早く隠し持つ短剣の位置を確認した時、急速にその感覚は薄らいだ。

 何も気付かぬ様子のイサベルが不思議そうに覗き込んでくる。

「? 将校さん? どうしたんだい?」

「あ、いえ、なんでもありませんよ」

 完全に消え去ったそれに、笑顔を絶やさぬまま、周囲をすばやく確認する。

 自分達以外に人のいる気配は、ない。

 気のせいか? 

 エディンは途切れた話を拾った。

「縁談か。そりゃー秘密の恋人達はもめたでしょう」

「まだ屋敷内でも公にされていない極秘事項だったんだけどね。どうしてあの娘の耳に入ったか知らないけれど、そりゃあもめたようなのよ」

 まだ極秘だったんだけど、といとも簡単に口にするイサベルに苦笑して、さりげなく先を促すと、花瓶から離れた彼女が、花束を包んでいた新聞紙に切り取った茎を丸め込みながら難しい顔で頷く。

「二人逢う時はいつもこの屋敷の庭園でこっそり待ち合わせていたんだけどね。ぱったりとこなくなったと思ったら、縁談の噂が私達の耳にも入ってね。何せ、旦那様が隣国から贈り物を取り寄せるほどだもの、力の入れようが違うわよ。なんでも子爵のご令嬢らしいというもっぱらの噂!」

 エディンは曖昧に笑んで目を伏せた。

 より上級の、力のある一族とつながりを持つために、婚姻という手段が使われるのは珍しい事ではない。

 むしろ、貴族社会ではそれが当たり前だ。

 そこに、当人達の意思の介入は許されない。

 子供は大人達の駒でしかないのだ。

 特に、准男爵ならば尚更、上級貴族とのつながりが欲しいところなのだろう。

 男爵以上の階級を手に入れて、上流貴族の仲間入りを果たす為の足がかりとして。

「…ん? 贈り物っておっしゃいました?」

「ああ。贈り物の中身自体は見たって人はいないんだけどさ、首飾りだっていう噂だよ」

「首飾り」

「そう。贈り物まで用意する程だから、旦那様は何が何でも縁談をまとめる気だったんだろう。タリス様は、ここんところ浮かない顔をされていたからねぇ。でもこんなことになっちまって、それも白紙だろうねぇ。今は縁談どころじゃないもの。悪魔のような所業で、タリス様お一人遺されちまって…! 旦那様も奥様も殺されちまうなんて信じられない!」

 旦那様と奥様の無念もだけど、遺されたタリス様のお気持ちを思うと……、とクルクルめまぐるしく変わる表情を今度は悲しげに引き絞り、両手を組み合わせて祈るようだ。

「私はこっちの屋敷の女中だから、今度は難を逃れたけれどね。私の昔からの仕事仲間も沢山殺されたんだ。あんた、解決する為に呼ばれた将校さんだろう? 協力は惜しまないから、早いとこ安心させておくれよ」

「頑張りますよ」

「頼んだよ。じゃあ、私は他の仕事もあるから失礼するね」

 厨房あたりか裏口あたりにいる事が多いからいつでも声をかけて、と言い残したイサベルと入れ違いに、丁度タイミングよくアルドが顔を出した。

「どうだ? 何か収穫が得られたか?」

「はい、首飾りはどうやら極秘裏に勧められていたご子息の縁談のお相手への贈り物として隣国から取り寄せたらしい、とのことです。実際、何時の間に、どこから取り寄せたのかは執事でさえわからないらしいのですが、デザインの様子が華美な隣国の流行に似ていたので隣国のものだろうと」

「やっぱりか……。今丁度、花を飾りに来た女中に同じ噂を聞いたんだ」

「さっきのおばさん……いや、ご婦人、からですか。先を越されちゃいましたねぇ。あ、それから、首飾りの件と関わりがあるかわからないのですが、引き上げ際の庭師のじいさんから気になることを聞きましたよ」

「気になること?」

「つい数日前に執事を通さず旦那様直々に来られて、客人を庭園に通すから手入れを念入りにするようにって命令を受けていたんですって。その指定日がなんと今日の夕暮れ時!」

「今日か」

「夕暮れ時というと……もう二時間ほどですかねぇ。時間の断定はできないのですが」

 部屋の豪華な掛け時計が告げるのは、アフタヌーンティーの時間を少し過ぎた頃合。

 エディンはふむ、と腕を組んで考え込む。

「……アルド、その情報、ラズウェルとペルフィールドさんには漏らすなよ」

「へ? それはどういう」

 思いもかけない命令にアルドが丸く小さな目を一回り大きく見開いたところで、

「お待たせいたしました、ただ今戻りました」

「やあやあすいませんな!」

 ラズウェルとペルフィールドが戻ってきた。 

「今部下を聞き込みに向かわせております。今日中には情報を持って戻ってきますよ」

「了解。ラズウェル、何か収穫はあったか」 

「調書によると……首飾りのことではないですが。こちらの屋敷の従者からの証言で、数日前、殺された卿が屋敷に訪れた際に、付き添いの執事が漏らしていたそうなんです。最近旦那様は人払いをしてアルフ氏と長時間一室に篭もって何か話し合っていた、難しい商談をしているらしい、何か一級の絵画を手に入れるおつもりなのだろうと」

「アルフ・ラーティの最近の動向についての調書は?」

「それが、今現在調査中でして、まだ報告はほとんど届いとらんのです」

 申し訳なさそうにペルフィールドが頭をかき、ラズウェルが浅くため息をつく。

「アルフ・ラーティはトランスエルドとの国境近くのフラティを主たる本拠地としているらしいのです。それ以外の、エルヴァンスドリスやルメスリージュなど、近郊の本拠地からの証言はあるのですが」

 わかっているのは、頻繁にエルヴァンスドリスに来ていたこと、何か悩んでいる様子だったこと。

 それから、リダースン卿に申し訳ない、と漏らしていたということのみ。

「ま、明日になれば揃うんでしょ?」

「は、もちろんです!」

「どうです、今日の日程はこの後、現場を見て、警邏隊本部に戻って会議という方向で」

 エディンの提案に、アルドがぎょっと目をむき、チラリと上司を見上げる。

 今日リダースン卿と約束していた人物についてはどうするんだ、と無言で問いかける視線に、エディンは気付かないフリ。

 不穏な空気を察したラズウェルが探るように二人を凝視するが、

「とりあえず、タリス氏の部屋の護衛は引き続きおくこと。できれば、中にも一人、いたほうがいいな」

「へ?」

「念のためだよ、念のため」

「はあ、そういうものですか。では、すぐに手配しましょう」

 エディンの言葉を素直に受け取り、ペルフィールドが扉の外へ指示を出している。

「隊長?」

「ん?」

 楽しげな、物騒な瞳。

 そんな目をしている時、彼に何を言っても無駄なのだと、経験から知っていたラズウェルは、聞きだすことを諦めて嘆息した。

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