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切り取り共同生活。9
ゴムがない。ということで、急遽コンビニに行くことになった。
冬本番も間近に迫っていることもあって、身体に吹き付ける風は冷たく、寝間着のまま出てきたことを既に後悔していた。寒いことはわかっていたので菘には留守番を頼んだ。あいつ、既に裸だし。
徒歩五分ほどの所にコンビニはある。煌々と道を照らす店内に足を踏み入れた。
そそくさと日用品が置いてあるコーナーへ。標準のものと薄いものがあったので、後者を手に取る。
ゴムのみを買うには度胸が足りない俺は適当にスナック菓子と炭酸飲料を見繕ってからレジに向かった。
「いらっしゃーせー」
入店時には姿の見えなかった大学生と思しき店員さんが奥の方から出てきてレジ対応をしてくれる。
ピッ、ピッ、とバーコードを読み取り、
「袋、有料ですがどうしますか?」
「あー、いらないです」
鞄はないが手で持てるだろうと思ってそう答えた。
しかし、店員さんは眉をひそめる。
「いいんですか?」
え、なんでそんなにもったいぶるんだよ。
「これ」
俺がいまいち要領を掴めていないからか、店員さんは俺の目線に何かを掲げた。
コンドームの箱だった。
「……袋、貰えますか」
「はい、三円です。合計--」
「ってことがあってさ。店員さんは悪くないんだけど、なんだかなーって」
帰ってから、さっきコンビニであったことを菘に話した。
「ああ、私も前に同じようなやり取りしたわね」
「菘もか。でも、ぶっちゃけコンドーム買ってるんだし問答無用で袋つけてくれてもいいよな。金取られても文句言わないしさ」
もちろん無断で有料のレジ袋をつけたら怒る人は世の中にいるんだろうけど。
「え? 私、袋貰わなかったけど。裸のまま受け取って、カバンに入れたわ」
「女子高生! もっと恥じらいを持とう!」
玉砕から始まる共同生活。 能代 リョウ @kashi_kashima
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