第八話 祝いと始まり

——《ギルド》——


「えーそれでは新しい冒険者の誕生!その冒険者による初クエスト達成及びオーガ二体の討伐!!そして俺の家賃が期日までに払えた事に関して!!!はい主役のサラさん!!」

「か、乾杯・・。」

「「「カンパーイ!!!!!」」」

 

 私の乾杯を合図にギルドの皆さんが一斉に掛け声を上げる。

 私たちはあの後無事にクエストを達成し、ギルドに帰還して無事報酬を受けることができたようだ。

 あのあと私は意識を失い、ライさんにおぶられてまた片道を戻り、目が覚めたのは丁度ギルドに到着したぐらいだった。


「お嬢ちゃんスゲェよ!初クエストにあんな難易度クリアしちまうなんて。しかもオーガを一撃で倒したんだって?」

「すげえよなぁ。今日冒険者になったばっかだぜ?」

「まさに金の卵だな!!」

「え、えっと・・・・。」


 一斉に言葉を投げかけられて困惑する私のもとに、両手に料理の乗った皿を持ったライさんがやってきた。


「おいこら塵芥どもが。クッソめんどくさいからみするんじゃねえ。困ってるでしょうが!」


 そう言って片方の皿を私の前に置いた。


「あっ。悪いですよそんな。」

「良いって良いって。オーガ二体も倒したからたくさん追加報酬貰ったし、それはクエストについてきてくれたお礼ってことで。他になんか食べたいものあったら言っていいぞ。」

「・・・・ありがとうございます。じゃあ遠慮なく頂きます。」


 礼を言って私は目の前の料理を救って口に運んだ。美味しい。村では食べたことのない料理だ。


「ライくーん。僕もお腹空いたよぉ。なんか奢ってぇ。」

「俺も俺も!」

「年長者には敬意を払えライ。何か食わせるんだ。」

「テメェらは金持ってるだろうが!人が彼方に入れたときだけハエみたいにやってくるんじゃねぇこの薄情物どもが!!」

「オイオイ違うんだよ。あれは新人に経験を積ませるためにわざわざ君を突き放したんだよ。」

「ああ!俺たちがお前のこと見捨てるわけないだろ?」

「クズどもが・・。じゃあもう良いよその話は。よくよく考えたらお前ら雑魚どもが一緒に行っても足手まといだしな。お前らじゃピンチになっても助けてやる気にもならないしな。」

「んだと!このガキ!!」

「木の棒振り回してるやつに雑魚とか言われたくねえんだよカスが!」

「おもて出ろ!!」

「上等だまとめてかかってこいゴミどもがぁ!!!」


 彼らはそう叫びながらギルドの外に出て行った。残された私に今度は受付嬢さんが話しかける。


「無事でよかったです。どうでしたか?初めてのクエストは?」

「・・怖いこともあったし、結構大変でしたけど・・・・。でも今思い返せばとても刺激的で楽しかったです。」


 そうだ。モンスターに怖がって悲鳴もあげてしまったけど、あのダンジョンでの戦いは私が小さい頃から憧れていた冒険者そのものだった。


「そう。それは良かったわ。ところであなたは誰とパーティーを組むの?パーティーを組んだ方が受けられるクエストの幅も広がって、仲間と協力することで、高難易度のクエストやモンスターに挑めるわよ。ちょうど今日みたいに。」

「・・・・。」


 パーティー。私が冒険者となって最も憧れていた事の内の一つだ。仲間と共に冒険に出かける。村には子供はいたが、私と同年代の子供は少なかったので、そう言ったものには特に憧れていた。


「お?どうしたんですかお姉さん。サラと何の話ししてたんです?」

「この子のパーティーについて話していたんです。あと、私にはレナっていう名前があるんですから、知っているならちゃんと名前で呼んでください。」

「いやなんか母親と同じ名前で呼びづらくって。んでパーティーだっけ?サラ。なんなら俺んところのパーティー入れよ。」

「え!?良いんですか!?」

「ああ。俺のパーティー今は説明した通り一人だし、それに俺のパーティー俺以外変なのしかいないからな。常識人が欲しい。」

「あなたも十分変だと思いますよ?」

「ハハハ。何よりもお前は戦力になるしな。あの雷属性?の魔法凄かったぜ。オーガを一撃だもんよ。」

「・・・・本当に私がオーガを倒したんですか?」

「こんな事で嘘つかないって。あれ受けたオーガは丸焦げになって倒れたからな。で、どうする?」

「そ、それはもちろん!」


 とても嬉しかった。足を引っ張っていた私がパーティーに誘ってもらえるなんて・・・。


「入れてください!ライさんのパーティーに!!」

「よっしゃぁ!じゃあ更に新たなパーティーメンバーの加入を祝って乾杯だぁ!!」

「はい!!」


 これは、とある冒険者ギルドで起こる、とある冒険者パーティーの物語。

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