第七話 二体目
私は驚き、すぐに後ろを振り返りその音の正体を確認して絶句した。そこには。
「ウゴオォォォォ!!!!」
こっちに向かって全速力で走ってくるもう一体のオーガの姿があった。
「キャアアアア!!」
「!。まさかもう一体いたのか!?入り口のオーク隠しとくべきだった!」
オーガは私の目の前まで来ると、手に持った巨大な斧を私目掛けて振りかざした。
もうダメかと思い、私は目を瞑った。しかし数秒経っても私に斧が当たる気配はなかった。
「ギリギリセーフ!」
目を開けると、オーガの手足や斧には木の根のようなものが絡まって、オーガを拘束していた。
目尻に涙を浮かべ、床にへたり込んでいる私の目の前には彼が立っており、その手に持った木の槍を床に突き刺している。
「グギガァァァァ!!!!!」
「サラ!立てるか!今からこいつにお前のとっておきをぶつけてやれ!!ひるませるだけでも良い!!このままじゃ俺や槍より先にこのダンジョンが崩れる!!!」
オーガは周りに巻きついた木の根を振りほどこうと必死にもがいており、その力によって根の根元の地面がひび割れて行く。
「早くやれ!冒険者になるんだろ?だったらこのくらいのピンチ日常茶飯事だ!!とっととこのデカブツ倒して、ギルドやお前の村の人達に自慢してやれ!!」
「!!」
その彼の言葉で私は村の人達を思い出した。私を心配しながらも笑顔で送り出してくれた優しい人達。シスターに次会うときは立派な私を見せてあげると約束した。少なくとも今へたり込んでいる私はシスターに見せたかった私ではない!
「・・・・わかりました!やります!やってやります!!」
「おお!!そのイキだ!!」
私はすぐに詠唱を開始した。目を瞑り集中して、今持てる魔力の全てを注ぎ込む。私が初めて覚えた今の私の最強の魔法を!目の前のモンスターにぶつける!!
詠唱が完了した。私の周りを魔力が流れる。敵に向けたステッキの先にその魔力が集中する。私は彼の横に立ち、そのありったけの魔力を放出した。
「『
放たれた黒い雷はオーガに直撃し、辺りに雷鳴を轟かせた。
それと同時に、魔力を使い果たした私の視界はぼやけ、やがて目の前が真っ暗になった。
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