俺の嫁
01.ダイエット
年末年始は暴飲暴食しがち。これは、学生の頃からずっと変わらない。いや、寧ろ大好きなアイツの手料理になってから、食べる量が増えたように思う。
勿論、絶対にアイツには嫌われたくないから、日々の運動は高校の頃から欠かさずにやってるし、体重測定も鏡を見てボディーチェックするのも俺の大切な日課だ。けれど、やっぱり食べた量の多さに加えて、年末年始のゆったりした時間の流れ。俺を太らせるには十分な条件だったのだ。
「ダイエットしよっかな」
それを呟いたのは軽い気持ちだった。声に出せば自分の気持ちにけじめをつけられるっていうのもあるけれど、本当に、何の気なしに口に出しただけ。それなのに。
どん。
俺より随分と小さい嫁さんの手が、俺の顔のすぐ横に。そして俺の背後には壁。あれ、これってもしかして壁ドンってやつ、なんて浮れる余裕はない。
「え、ご、ごめん」
謝ったのは反射的なもの。嫁さんに怒られることほど怖いものはないのだ。けれど、壁ドンの意図はそんなものではなかったらしい。
「んっ、」
「え、な、なに?」
「ダイエット、するんでしょ?」
「へ?」
唐突なキス。身長差による嫁さんの強制上目遣い。それでこんな風に甘いお誘いをされて、冷静でいられる男がいるのだろうか。
理性が吹っ飛んだ。これは俺のせいじゃない。
220110
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