09.パズル
お風呂から上がったら、完成間近だったパズルが初期段階に戻っていました。これこそが、彼が今、目の前で正座をしている理由です。
「ご、ごめんなさい、」
「別に、パズルを崩しちゃったことを怒ってるわけじゃないんだよ。あたしが聞いてるのは、どうしてその行動をしたのかってこと」
「……テレビ見てて、ちょっとやってみたくて、」
彼は好奇心が旺盛なのだ。気になったらやってみたいタイプ。そこが可愛いと思っているし、面白いとも思っているし、つまりは好きな部分の一つなのだけれど。だからって、パズルの近くでするべき行為じゃないってことは、少し考えればわかるだろうに。
リフティング。
今日、このタイミングで運悪く彼の目の前に現れたソイツは、彼の好奇心を勝手に沸き立て、その代償とばかりにあたしのパズルを壊していった。
「外でやろうっていう発想は?」
「だって、夜にお前が一人で家に居るの、なんか心配だから」
立派な番犬が、しゅん、と耳を垂らしているような。だから、結局いつも彼を許してしまうのだ。
220109
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