第8話 潜入!ジョウザイ刑務所(前編)

 天界時間15:26 ワクチン洋上ジョウザイ刑務所


 輸送ヘリから車で入るケイン


 衛兵:止まれ、身分証を提示するんだ。


 身分証を差し出すケイン


 ケイン:どうぞ。


 衛兵:妖魔銀行シーラント諸島連合国支店のケイン・Y・天里?魔界の銀行員が何の用だ?


 ケイン:天界と魔界の金融機関による親善出向という事でこの度、浄土銀行ドクトリア王国支店への出向が決まり赴任しました。支店長からの指示で、この刑務所の所長様と追加融資の件でお伺いした次第でして。


 衛兵:なんだ、お前がそうだったのか。なら通ってよし!


 ケイン:有難う御座います♪


 入口前に車を止めて降りるケイン


 ユリア:お待ちしておりました、私がこの刑務所の所長を務めるユリア・ジョウザイと申します。お車は係の者が駐車場に停めておきますので鍵をお預かりさせていただきます。


 衛兵に鍵を渡すケイン


 ユリア:ではこちらへ。 


『所長室』


 ユリア:そちらのソファーへおかけください。


 ソファーに座るケイン


 ユリア:ご用件はそちらの支店長から伺っております。今回の刑務所増設における追加融資に関して妖魔銀行も支援してくださるとか。


 ケイン:それなのですが、ここに来る前に刑務所の見取り図と収監状況を見させてもらいましたが、現状では増設する程のものではないと見ておりますが。これはどういう事なのでしょうか?


 ユリア:やはり、そこに触れますか。実はこの増設の件に関してはカテーテル大臣閣下の肝入りで進められてる案件でして。私もその必要はないと申し上げたのですが、早急に必要になったとの事で。それに・・・


 ケイン:それに?


 ユリア:なんだかのです。


 ケイン:と、言いますと?


 ユリア:あの方は女性と見るといつも挨拶代わりにセクハラしてきます。ですが、ここ最近は一切ありません。そこが不気味というか、不自然というか。


 ケイン:成る程。


 ユリア:それにあの方は女王陛下同様に視察等で来られた時はいつも下の者にまでお声がけなさって・・・女性にはセクハラしますが。それでも我が国で自慢の方々なのです!大臣閣下に関してはセクハラさえなければ憧れの女神様なのですが。


 ケイン:アッハハ(成る程、直感的に偽者ではないかと疑っているのか)1つ、お願いがあるのですが。 


 ユリア:何でしょう? 


 ケイン:その増設区画を私にも見せてはもらえないでしょうか?


 ユリア:そうしたいのですが、あそこは所長である私でさえ立ち入りが禁じられていて入れないのです。


 ケイン:(刑務所の最高責任者である所長が立ち入りを禁じられている?)それを聞いたらますます見てみないといけませんよ。ユリアさん、天界の銀行はどうかは分かりませんが、魔界の銀行は顧客第一、顧客との信頼関係第一をモットーにしております。もしも知らなかったとはいえ、何かしらの犯罪の片棒を担がれているのなら尚更現場を見ておかないといけません!


 ユリア:・・・


 ケイン:サラリーマンは家族の生活を支えるため、お客様のために仕事をしています。それが自分のためだけに仕事をする様になったら、それはサラリーマンとしての死を意味します。私達魔界のサラリーマンはそういう信念を持って働いているのです。貴女と話してみて分かりました、貴女は我々魔族のサラリーマンと同じでそういう信念を持って仕事が出来る方だと。


 ユリア:天里さん・・・  


 深々と頭を下げるケイン


 ケイン:ですからどうかお願いします、協力してはもらえないでしょうか? 


 ユリア:・・・分かりました、天里さん、貴方に賭けてみます!


 ケイン:ありがとうございます!

 

『増設区画』


 衛兵:お待ちください所長!ここより先は、たとえ所長といえど大臣閣下の許可の無い者を通すわけにはいきません!


 ユリア:その大臣閣下にはがあるのです。そこを通しなさい、これは命令です‼︎


 衛兵:し、しかし!


 ???:なら、良いのねん♪


 衛兵:あ、貴女は!カ、カテーテル大臣閣下⁉︎


 ユリアの臀部でんぶを撫で回しながら喋るクリス


 ユリア:ひゃあ!


 クリス:う〜ん!また一段と引き締まってきたわねん♡


 クリスに回し蹴りをするユリア


 ユリア:毎度毎度セクハラしないでと言ってるでしょう‼︎


 クリス:おっふぅ!良い蹴りしてるねぇ♡


 ユリア:あ。


 クリス:ここを通すなって命じた本神ほんにんである私がこうして言ってるんだから通してくれるわよね?  


 衛兵:は、はい。大臣閣下が許可なさるのであれば。


 ユリアの胸を揉むクリス


 クリス:ハ〜イ、決まりねん♡さ、ユリアちゃん行きましょう♪


 裏拳で顔を殴るユリア


 ユリア:やめろって言ってんだろうが‼︎


 クリス:ワ〜オ!ユリアちゃん激しい♡


『増設区画内』


 ケイン:こ、これは⁉︎


 牢の中から中年の男性の声が話しかける


 ???:そこに誰か居るのか?看守か?まだ食事の時間には早い筈・・・あ、貴女は!カテーテル大臣閣下⁉︎


 ケイン:この顔、見覚えがある。ドラット製薬グループのレオパルト・ツェッペリン社長!


 隣の牢から顔を出す少女


 ???:クリス、クリスなの?


 クリス:ご無事でなによりです女王陛下♪


 ケイン:ではこの子、じゃなかった!このお方がドクトリア王国のリアン・ドクトリア15世陛下!


 牢のある区画の奥のエレベーターに気付くケイン


 ケイン:ん?


 デバイスのデータベースから見積もりと見取り図を見比べるケイン


 ケイン:やっぱり変だ、浄土銀行から送られてきた見積もりと見取り図にがある。


 ユリア:どこですか?  


 ケイン:が無くて、んですよ。


 ユリア:あるべきもの?無い筈の?え?


 ケイン:あ、混乱させてしまいましたね。この見積もりによれば、本来この区画には多数の監視カメラと出入口には武器等の持ち込みまたは、持ち出しを防ぐ金属探知機内蔵のゲートがあるのですが、実際には・・・


 周りを見渡すユリア


 ユリア:あっ!監視カメラもゲートも無い!


 ケイン:それでもこの予算額では相当なお釣りが出ます。なのに更なる追加融資は不自然過ぎます。それに・・・


 ユリア:無い筈のもの、更なる地下へのエレベーターがある!


 ケイン:その通りです。


 クリス:ここから先のエレベーターには私達みたいな潜入の素人は行かない方が良いみたいねん♪


 ケイン:そうですね、ここより先はの出番ですから一旦引き上げましょうか。 


 ユリア:え?え?それはどういう?


 ケイン:それは後で説明します。それと女王陛下にツェッペリンさん、それまでもう少しご辛抱を。


 リアン:分かりました。


 レオパルト:その時は詳しく事情を説明してくれるのだろうね?


 ケイン:勿論です。


 レオパルト:であれば、女王陛下の方は私に任せたまえ!


 ケイン:助かります。


 後編へ続く・・・






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