第2話 下見

 天界時間15:00 天界宇宙精霊界ノーム族特区


『浄土銀行精霊界支店』


 支店長:今日から妖魔銀行より応援に駆けつけてくれた天里君だ。


 ケイン:ケイン・Y・天里です、宜しくお願いします!


 拍手で歓迎する行員達


『出国前日』


 ケイン:ランドストーンホテル・・・ですか?


 善景:はい、そこでに会ってもらいます。


 ケイン:そのある方とは?


 善景:それは会ってのお楽しみですよ♪その方はかつて貴方のお父さんが怪盗として活動していた頃に天界の裏事情に関する情報を提供していた方だそうです。


『再びノーム族特区車中』


 亜紀:それにしても、天界宇宙ってのは移動手段が未だに徒歩や車とか電車だから不便だね〜。


 ケイン:それが長年、暴利を貪り続ける悪徳政治家や悪徳巨大企業の温床になってる証拠だよ。


 由紀:神族とは聞いていたのだが、今から会うのはどんな神物じんぶつなのだ?


 ケイン:それが、会ってからのお楽しみとしか言わなかったんだよ。


 亜紀:そろそろ着くみたいだぞ。


『グランドストーンホテル最上階レストラン』


 ウエイター:天里様ですね?


 ケイン:はい。


 ウエイター:お待ち申し上げておりました、ご案内します。


 テーブルに座る1ひとりの老龍神を中心に5ごにんの幹部らしき龍神族が座っている。


 老龍神:よく来たな、まぁそこに座りな。


 ウエイターに案内されて座る3人


 老龍神:遠路遥々ご苦労だったな。


 ケインに耳打ちする亜紀


 亜紀:あの中央に座っている老龍神はドラゴニックマフィア植物系龍神族組織最大の神木葉緑会かみきようりょくかい会長、神木伊十郎かみきいじゅうろうだ。


 陽気な龍神:コイツがあの怪盗アマヤドリの2代目かいな!なんや、ボンボンやないかい♪


 亜紀:今喋ったのが3人の若頭補佐の1柱、蔓辺真利つるべまさとしだ。


 強面の龍神:そう言うなマサ、こう見えてもあの怪盗アマヤドリのせがれだ。相当の手練れやぞ。


 亜紀:そして今喋った強面の龍神がもう1柱の若頭補佐、相葉冬馬あいばとうま


 心配そうな龍神:せやけど大丈夫かいな。先代は男3人やったけど、今度は青臭い小僧に女2人やないか。


 亜紀:あっちが3柱目の若頭補佐で種崎研二たねざきけんじ


 初老の龍神:お前等、親父の客人に失礼やろうが!


 亜紀:今のが神木葉緑会の実質No.2の若頭、杉城隆臣すぎしろたかおみ


 ケイン:(父さんの協力者って、天界のヤクザ⁉︎)

 

 伊十郎:さて、今回のターゲットは地精重工グループ社長ブライ・ドルトンが所有するガイアの涙。その台座だったか?


 ケイン:はい。


 真利:ガイアの涙ならともかく、台座とはまたオモロイもん狙っとるなぁ。


 隆臣:馬鹿野郎が、あの怪盗アマヤドリが狙ろとるモンやぞ。ただの台座なわけあるわけないやろうが!


 真利:スンマセン、頭。


 伊十郎:隆臣の言う通りだ、ソイツはただの台座ではない。台座に偽装しただ。


 冬馬:な、なんやて⁉︎親父、それは本当ですかい!


 ケイン:妖魔銀行の朝倉総裁からは貴方達が父の情報源だと伺っていますが。


 伊十郎:儂等はお前の親父さんにはデカイ借りがあるし、天界宇宙の巨悪を倒す手助け出来るならと袋井耀蔵ふくろいようぞうが健在の頃にはソイツを逆手に取って情報も集まり易かったが、今は無くなった黒峰組の馬鹿共が余計な事した所為で情報が集まりにくくなっちまった。


 ケイン:ドラゴニックマフィアに向けられた暴力団活動規制法ですね?


 伊十郎:そうだ。だから・・・


 ウエイターにUSBメモリーを預けてケインに渡す伊十郎


 伊十郎:本来ならそれ4つ分の情報を集められたモンだが、今はそれっぽっちさ。


 ケイン:いえっ!とても有難いですよ♪


 伊十郎:この後下見に行くのか?


 ケイン:はい、父はセールスマンだったのであまり深い所までは下見出来ませんでしたが、今度は銀行員という特性を活かしてみせますよ♪


 伊十郎:そうかい。ま、困った事があればいつでも声をかけてくれ♪


 ケイン:はいっ!


『翌日 ドルトン邸』


 ブライ:わざわざすまんね、ここまで足を運んでもらって♪


 ケイン:いえ。 


 執事を呼ぶブライ


 ブライ:天里さんを応接室へご案内して差し上げろ。


 執事:畏まりました。さ、天里様こちらへ。


『30分後 応接室』


 ブライ:待たせたね、これが銀行の貸金庫に預けたいガイアの涙だ。


 ケイン:これがそうですか。普段は専用の部屋に保管しているのですか?


 ブライ:そうですが、何故そのような事を?


 ケイン:当行に預けるにあたって気を付ける事はないかと思いまして。宝石によっ

 ては過度の湿度や乾燥が大敵なのもあるそうなので。出来れば参考に保管部屋を見ておきたいのですが。


 ブライ:そういう事ならご案内しますよ。


『20分後 特別保管室』


 ケイン:普段はここで保管しているのですね?


 ブライ:ええ、そうです。


 中央の台座に注目するケイン


 ケイン:(あれがターゲットの台座)


 ブライ:あの台座が何か?


 ケイン:あ、いえ。肝心のガイアの涙はこっちにあるのにどうして台座をあんなに厳重にしているのかなと疑問に思ったもので。


 ブライ:あ、あの台座は特別性でして。台座の素材がとてもとても希少な物ですから台座だけでも相当な価値があるのですよ、高名な職人の手製ですからね。


 ケイン:成る程(の間違いだろ)


 ブライ:さ、そろそろ手続きの方を。


 ケイン:そうですね。


『通路内』


 ケイン:ここまでのセキュリティは?


 ブライ:魔界宇宙の最先端次元テクノロジーを駆使したループトラップを使用しています。 


 ケイン:目的地点を中心にフィールドを展開してそこに入った侵入者を指定した地点に何度もループさせて侵入を防ぐというトラップですね?


 ブライ:はい、今は解除してますが。一度作動させると私以外の者を検知するとどんな輩でも追い出してしまいますよ♪


 ケイン:それは安心ですね(魔界宇宙のテクノロジー自体を毛嫌いしている事で有名なブライ・ドルトンらしからぬと言うべきか)


 応接室で手続きを済ませて玄関に行くケイン


 ケイン:では後日担当の者が取りに参りますので。


 ブライ:はい、お願いします♪


『車中』


 亜紀:どうだった?


 ケイン:セキュリティもそのルートもバッチリ確認したよ♪


 由紀:準備が出来たら決行だな♪


  



















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