Episode11-B 極め付きはこれだ! ※グロ注意!
私と夫の生活に聳え立つ障害としか思えない邪魔なガラクタを、綺麗さっぱりと捨て去ってしまいたい。
最初の一歩を踏み出すまでの時間はかかったが、いざ手を付け始めるとあら不思議、あっという間に片付いてしまった。
しかも、マニアには受けの良い物であったらしく、結構いい値で売り払うことができた。
前から狙っていたハイブランドのバッグを買えるほどではなかったが、思わぬ臨時収入にホクホクせずにはいられなかった。
しかし、帰宅した夫は、もぬけの殻となった”自身のコレクションルーム”を見て、青筋を立てて怒り始めた。かと思えば、大の男がボロボロと涙を流し、声をあげて泣き出した。
そればかりか、夫は私に手まであげたのだ。
「なぜ、人が大切にしている物を勝手に処分するんだ!?!」
「か弱い女に暴力を振るうなんて、なんて男なの!? だいたい、あなたがいい年して、ミニカーのコレクションなんてしてるからいけないんじゃないの? 子どもの頃からコツコツ集めてきたなんていっても、あなたはもう大人なのよ。子どもみたいな趣味は卒業して欲しかったのよ。私は良かれと思ってしてあげたのに!」
しかし、私の”思いやり”は夫には通じなかったらしく、私は片頬を腫らしたまま、キッチンの大型冷蔵庫の前まで引きずっていかれた。
「お前は人の物にはあれこれ口出し手出ししてくるくせに、お前自身の整理整頓は全くなってないだろう! 『キッチンは私のテリトリーだからね』とか言うから、冷蔵庫の中もお前の好きにさせてやっていたが……ほら、これらを見てみろ! ドロドロに溶けたニンジンに、賞味期限がとうに切れた鶏もも肉が六パックも……それに、極め付きはこれだ! ”お前が殺した間男(まおとこ)の頭部”がまだ残っているじゃないか!!」
「そ、それは……少しずつ生ゴミに混ぜて捨てていたから、処分に時間がかかるのは仕方がないじゃない。特に頭部は重いから、最後にしようと思っていて……私はちゃんと片付けるつもりだったのよ」
「言い訳するな! 俺の大切なコレクションを勝手に売り払った罰として、今すぐに”これ”を片付けろ! ゴミに出せとか、ましてや誰かに売ってこいって意味じゃないからな! 冷蔵庫は本来、食べ物を保管する場所だ。だから、お前は今から”これ”をどうすればいいかは分かるだろう?」
(完)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます