【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode3-C チラシでロックオン!

 結論、人面犬たちの協力のもと、自己中JCをノックアウト!



 主人公は、ごく普通の男子中学生・賢哉。

 しかし、ごく普通と言っても、彼は中学生にしてはかなり肝が据わっており、また”都市伝説への造詣も深い”。

 ”都市伝説への造詣が深い”という設定は、後の伏線となる。


 ある朝、いつも通りに登校した賢哉。

 するとなぜか、彼と同じクラスのそう親しくもない女子生徒・手塚が『令和最強の公式カップル』として、皆に周知されていた。

 そのうえ、もうすでに彼と手塚の結婚までもが、中学生ながらに決まっているとのこと(-_-メ)


 その原因とされるのは、手作り感溢れるチラシ――手塚が作ったのであろう、賢哉と手塚の”偽りのラブラブっぷり”が明記されたチラシであった。

 なんと、このチラシは(賢哉をのぞいた)全校生徒の下駄箱に入っており、職員室にもばらまかれ、なお教室内にも掲示されていた。さらに言うなら、賢哉の自宅ポストにも投函され、町の電信柱にも貼り付けられていた。


 しかし、いくらチラシが広範囲にばらまかれているにしても、それを目にしたor受け取った人全員が、フェイクニュースにも程がある”賢哉と手塚の仲”を信じ込み、応援してくるのはおかしい。

 何か人ではないものの力が関わっているとしか思えない浸透率100%のチラシ。



 限界へと近づきつつある賢哉の前に、何の前触れもなく人面犬が現れた。

 おじいちゃん言葉で喋る人面犬・迅は、今から30年以上前に賢哉と同じく、チラシでロックオンされた被害者を知っていた。

 その被害者はチラシの呪縛から逃れることができなかったものの、チラシから逃れる方法を賢哉は知ることができた。


 『チラシの作成者は”原本”を、作成日から666日が経過するまで大切に保管すること。そうすれば、チラシの効能は完全に浸透する。しかし、666日が経過する前に、チラシの原本を焼却してしまった場合、時間は巻き戻される。チラシに書かれた人間たちの記憶以外は、全てが元通りとなる』と。


 手塚が保管しているであろう原本を焼却すればいい。

 自宅に手塚を呼び出した賢哉だが、幼稚で自己中な手塚にチラシの原本の焼却を約束させることはできなかった。


 このまま手塚の思い通りになってたまるものか、と賢哉と迅はある策を講じる。

 その策を実行に移すのは、体育の授業中――学校のグラウンドでの男女ともに持久走の時間と決めた。


 よって突如、グラウンドに現れた人面犬・迅だけでなく、迅の仲間である他17匹の人面犬!

 総勢18匹の人面犬たちは群れとなり、手塚がいる女子生徒たちの列へとドドドドドドドドドと突っ込んでいった!!


 逃げる手塚を追う人面犬たち。

 顔面崩壊しながら逃げまわる手塚。


 賢哉は、”恐怖”――”奇怪なる18匹もの人面犬に追いかけられるという恐怖”の策によって、手塚にチラシの原本を焼却させることを皆の前で約束させた。


 こうして、時間は元通り。

 手塚は転校していき、賢哉にも以前と変わらぬ日々が戻ってきた。


 自分の未来を救ってくれた迅たちにお礼をしたい賢哉であるが、彼らは姿を見せることはなかった。

 彼らの記憶までも元通り……何もかもなかったことになっているのかと思った賢哉であるも、彼は迅の好物の”うぐいす饅頭と烏龍茶”(18匹分)を買ってきて、部屋に並べ、『ありがとうございました』という手紙も付けた。


 賢哉が学校から帰ってきたら、綺麗に空となった食器容器だけを残し、全て無くなっていた。

 そして、色の違う幾本もの犬の毛が落ちており、迅の『こちらこそ礼を言う。美味じゃったぞ』という迅直筆の手紙までもが!(∩´∀`)∩

 人ではなく、都市伝説の怪異である彼らには、記憶はしっかり残っていたのだ。

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