第141話 トレーナ会戦 中編 12
カルドナ王国軍第4軍は鶴翼の陣形で、ウェスバリア軍第2軍を引き込むと、前線の銃歩兵師団が、銃撃を放った。
ウェスバリア軍第2軍前線を維持する、第7重装歩兵師団、第3重装歩兵師団は、この銃撃に、盾に傾斜を付ける対銃撃の構えをするなどして対応し、損害が出る事を避けた。
しかし、重装歩兵師団の両翼、第22歩兵師団、第21歩兵師団は軽装という事もあり、少なからず損害が出てしまい第7重装歩兵師団、第3重装歩兵師団に後れを取ってしまった。
1~3列目が斉射を終えると、敵将指揮官アンプロージョ少将は、新たな命令を下した。
「4~6列目を前列に入れ替え斉射3連。7~9列目と交代1~6列目に装填を指示。全軍を更にゆるやかに後退させよ。」
この命令に、前線の銃歩兵は直ちに前列を4~6列目に入れ替えると、列ごとに斉射3連。更にウェスバリア軍第2軍の勢いを殺した。
敵将が後退の命令を出しているのだから、戦線中央の第7重装歩兵師団もなかなか距離がつまらない。これに業を煮やしたウェスバリア第2軍司令部は数の上で優勢な最左翼、最右翼の騎兵に突撃命令を出した。
「右翼第11騎兵師団、左翼第9騎兵師団に突撃を命じよ!」
ツェッペリン大将の命令を受けると、第9騎兵師団トリスタン・ド・シャルパンティエ少将は即座に突撃準備命令を発し、第2軍後方に位置する第73魔導砲兵旅団に正面カルドナ王国軍第72騎兵師団への突撃支援射撃を要求した。
一方のトルゥニエ少将指揮する第11騎兵師団は、後方第72魔導砲兵旅団へ正面左に位置する、カルドナ王国軍第18銃歩兵師団師団へ突撃支援射撃を要求、直協部隊である2個魔導砲兵大隊を師団森に近い位置へ移動させると、正面第5重装騎兵師団へと突撃支援射撃を命令した。
更にトゥルニエ少将は、マイトランド有するキスリング支隊へと連絡。砲撃準備を要求した。
第72魔導砲兵旅団、第73魔導砲兵旅団の突撃支援射撃を待って、準備の整った、第11騎兵師団、第9騎兵師団は全軍により突撃を敢行した。
第9騎兵師団は、正面の第72騎兵師団の中央突破を狙うべく、比較的重装であった、第109騎兵連隊を先頭にし、密集体系、攻撃縦隊にて敵の中央に突撃。
これに敵第72騎兵師団は、第17魔導砲兵師団へ突撃破砕射撃を要求。第4軍総司令官アンプロージョ少将は第17魔導砲兵師団に下命、部隊内1個連隊を直協部隊として、突撃破砕射撃に移らせた。更に後方に隠していた、第19弓騎兵師団の半数である2個連隊を増援として後方回した。
同じように第19弓騎兵師団の残りの半数である2個弓騎兵連隊を第5重装騎兵師団の後方に回すと、1個魔導砲兵連隊を直協部隊として、第5重装歩兵師団の後方へと配置した。
「両翼の騎兵が突撃してくる。突撃破砕射撃を実施しつつ、速やかに全軍を後退させよ。」
アンプロージョ少将はそう命令を下すと、カルドナ王国軍第4軍は、後退速度を増すと、一気にウェスバリア軍との距離を広げた。
突撃破砕射撃により、降り注ぐ大量の魔力火球をもろともせずに第9騎兵師団は、敵中央に到達しようかという所まで来ると、敵師団の後方に回り込りもうとする2個弓騎兵連隊の存在に気付き、シャルパンティエ少将は新たな命令を下した。
「109連隊は敵突破後、後方に移動した敵弓騎兵にそのまま突撃を敢行せよ。本隊はこのまま敵騎兵師団を殲滅後、敵銃歩兵師団の側面を攻撃する。」
あろことか師団を二手に分けるという奇策に出た。
一方で第11騎兵師団トゥルニエ少将は、敵の前面に落ちる突撃破砕射撃の終了を待って、師団を構成する騎兵が持つ大きな半球状の盾を左側面に構えさせ、魚鱗陣形にて突撃を命令。キスリング支隊へと後方に回る敵2個弓騎兵連隊への即時砲撃を要求した。
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