第126話 トレーナ会戦 前編 7

 12月31日午前 

 カルドナ王国軍、第4軍第10軍団アンプロージョ少将は、トレーナ市街南地区西地区にエットーレ・パスクッチ大佐指揮する第107軽騎兵連隊2530名を配備。ヴィテロッツォ・ポンティセリ大佐指揮する第81銃歩兵連隊2770名を壁上配備及び北地区駐屯部隊として配置した。

 また、東側野営地で待機していた1個軍団残し2個軍団を西側野営地へ移動させ、要塞化しつつある西側野営地に手持ちの部隊で最後の師団である、第5重装騎兵師団13520名を駐屯させるとトレーナ西側の門を閉じた。

 第4軍の総司令官ガリボルディ中将はこれを確認すると、総司令部をトレーナ西地区へ移し、前線の指揮権をアンプロージョ少将へ委譲した。


 これによりカルドナ王国軍第4軍の編成は、

 第10軍団第5重装騎兵師団将兵合わせて9520名(師団の必要数に満たない理由は第107軽騎兵連隊が抜けている為)。

 第2軍団第13銃歩兵師団将兵合わせて12630名、第12騎兵師団将兵合わせて14650名。

 第6軍団第17魔導砲兵師団将兵合わせて10080名、第16銃歩兵師団将兵合わせて13525名。

 第4軍団第22重装歩兵師団将兵合わせて12250名。

 第11軍団第18銃歩兵師団将兵合わせて11960名、第19弓騎兵師団将兵合わせて11880名。

 第19軍団第21弓兵師団将兵合わせて11880名、第25銃歩兵師団将兵合わせて12550名。

 第20軍団第72騎兵師団将兵合わせて8250名(師団の必要数に満たない理由は第125混成団に4000名出している為)となった。

 したがって、第4軍主力部隊の総兵力は13万1175名となり、この総指揮を少将であるアンプロージョが執ることになった。

 アンプロージョ少将は全ての部隊を隷下に納めると、その各指揮官に戦闘準備を急がせ、自身の子飼いである第5重装騎兵師団をもって偵察、斥候の任に充てた。


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 さて、一方のヴェルティエ中将指揮するウェスバリア第2軍別働隊第2軍団は、平原北側中央部ヴァノワーの森にて陣地を構築すると、ヴェルティエ中将の命令で、その日の行軍を止め、全軍に休息を取らせるとともに、新年を祝う準備を進めていた。


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 そのヴェルティエ中将指揮する第2軍団と相対するはずの、カルドナ王国軍ジョヴァンニ・メッセ少将指揮下の第125混成団はと言うと、簡易的な陣地構築を終えていた。

 北側の森に潜んだ第58銃歩兵連隊もその偽装、隠蔽を終え、完全に森に溶け込んでいた。

 上流に出した工作部隊は、木の伐採を完了。いつでも川にその丸太を投げ込めるべく準備をしていた。


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 マイトランド有するキスリング支隊は、この頃、トレーナ平原南部の森林地帯、中央部東端まで到達しており、新たに予備陣地を構築指示を出していた。

 そんな時、魔導通信機が音を発する。


 ツーツー


「チッ、こんな時に。2回。ポエルだ。ランズベルク、レフ同行してくれ。多分敵の偵察斥候だ。」


「はいさ。」


「おう。」


 2人は返事をすると、ランズベルクが補助魔法、支援魔法をかけると、3人はポエルの警戒地点へと、進発した。


 ポエルの警戒地点に、マイトランドの気配察知を使い到着すると、すぐにポエルに尋ねた。


「ポエル。敵は?」


「うん。敵は2人。ランズベルクが持っているような銃?を持っていたのが1人。もう1人は大剣。でも戻って行った。」


「女は?いなかったか?」


「もう。マイトランドの頭の中は女の事だけ。ここにも女がいるのに失礼しちゃう。」


 ポエルはその頬を膨らませると、どうやら怒っている様であった。


「ちがう。そうじゃない。もし女がいれば、仲間だ。」


「仲間。うん。そんな感じはしなかった。まだそんなに遠くには行ってないと思う。」


 マイトランドは少し考えると、ランズベルクに指示を出した。


「ランズベルク、隠蔽を使ってどんなやつらがこの先にいるか見て来てくれるか?絶対に攻撃するなよ?良いか?」


「おう、いいぜ!行ってくるわ!」


 ランズベルクはその場から消えると、敵の偵察に向かった。


 しばらくすると、ランズベルクが戻ってくる。


「うーん。ありゃ敵だ。敵の中隊規模だな。統制が取れてなさそうな感じもしたけどな。」


 報告を受けたマイトランドは、しばしの間考えると、結論を出した。


「予備陣地がバレる前に撃破したいな。ポエル、アツネイサ以外の分隊の全員を呼んで来てくれ。」


「うん。」


 ポエルは頷くとアツネイサ以外の分隊員全員を招集した。

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