第40話 学科試験 5

 学科試験前日。


 その日の課業を終え、フレデリカ達の試験前最後の授業が始まる。


「皆よく頑張った。明日は頑張って欲しい。」


 授業が終わりフレデリカがそう伝えると、マイトランドが自身の作った問題で、模擬試験を開始する。


「明日はいよいよ、学科試験だ。試験当日だと思って、皆解答欄を出来るだけ埋める様に。では模擬試験はじめ!」


 マイトランドの合図で全員が問題を読み、答案を書きこむ。


 予定よりも早く全員の手が止まったので、そこでマイトランドは終了の合図を出し、各員の答案の採点に入る。


「よし、最初の学科試験にしては上出来だ。俺の予想以上だな。ではランズベルク以外の上位3名のみ結果を発表する。」


 ランズベルクは最初からマイトランドと一緒に学んだ知識があり、25/25で満点だったため、列外とし、その他の者の上位3名を発表した。結果は11/25でルークが1位、9/25でクリスが2位、8/25でヘクターという順番であった。


「おい、俺はどうだったんだよ。結構できたと思うぜ?」


「ジェイクは5/25だな。」


 マイトランドが答えると、ジョディーが笑いながらジェイクをからかう。


「なんだいあんた、あたいの自己採点と一緒じゃないか。最初から読み書きできた割にだらしないねぇ。」


「うるせえ!」


 ジェイクは悔しそうにすると、マイトランドに尋ねる。


「順位なんて何の意味があるんだ?晒しもんじゃねえか。」


 マイトランドはジェイクの問いに全員に聞こえる様に答える。


「明日の試験は、俺達全員でこの貴族用の上級学科試験を受ける。受験費用は全員分支払ってあるので安心してくれ。この上級学科試験では、貴族、平民に関係なく、順位の張り出しがされる。皆はまだ貴族連中の全員には勝つことはできないが、一人でも多く勝てる様に、またお互いがお互いをライバルだと思い、学科試験を受けてほしい。では奮闘を期待する。解散!」


 マイトランドの言葉に、班員達は湧きたつも、ヘクターだけは浮かない顔で、


「なあ、マイトランド、受験費用一人銀貨1枚のはずじゃなかった?僕達そんなお金持ってないよ。払ってあるって言ったけど、誰が払ったんだい?」


 マイトランドはヘクターの問いにランズベルクに目をやると、ランズベルクはゆっくりと顔を横に振るので、


「ああ、それならフレデリカ達が生徒の成長を見たいからと払ってくれたんだ。あいつら金があるだろ?期待に応えないとな。」


 実際の所はマイトランドが払ったわけだが、申し訳ない気持ちだとか、引け目を感じてほしくない思いから嘘をついた。

 実際マイトランドもランズベルクも、貰った金であり、皆の為に使うのは吝かではない。


 ヘクターはフレデリカに直接教えてもらった経緯もあり、


「フレデリカさんに後でお礼を言っておかなきゃね。」


 そう言うとその場を去った。


「ありゃ惚れたな。」


「ヘクターか?」


「ああ、美人だろフレデリカ。」


「まあな、美人だ。ランズベルクも惚れてるのか?」


「まさか、俺はジョディー一筋だぜ。」


「うそだろ?」


「うそだ。さすがにアレは無理だ。」


 二人は消灯時間まで笑い。他愛ない話を時間と共に終えると、眠りについた。


---


 学科試験当日。


 午前中の課業を終了すると、マイトランド達はヘクターの引率のもと、試験会場に移動する。

 移動を終えると、各班全員がバラバラになり、10名の程入れる部屋に連れて行かれ、その部屋の自分の席に着席する。


 羊皮紙で作られた、全員に試験問題を受け取ると、


「はじめ!」


 試験官の開始の合図で試験を開始する。

 問題は極めて簡単な問題であり、マイトランドの作成した模擬試験問題からも、7問は同じ問題が出題された。

 マイトランドは、試験会場から聞こえてくる、他の者達の筆の音から全員の手ごたえを感じると、試験終了を待った。


試験時間が終了すると、ランズベルクがいの一番に声をかけてくる。


「マイトランドどうだった?全部いけたか?俺は全問解けたぜ。」


「ああ、びっくりするほど簡単だったな。同率一位が何人もいるだろうよ。結果発表が楽しみだな。」


「結果はいつだ?」


「明日だったはずだ。2人並んで1位かな。」


 結果は明日。2人は他の班員とも合流すると、自己採点がてら試験について話し合った。

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