第21話 模擬戦の準備 3

「まぁ、こんなところだな。こう見ると俺達先生が良かったと思うよ。」


 自分達のスキルの良さを師に感謝する、ランズベルクの報告によれば、班員のスキルはマイトランドが予想していたよりもはるかに優れていた。


フィンは土木、鍛治、船大工、設計、茶葉選定。

シュウは槍術、馬上槍術、俊足、体力向上、初級雷魔法、木登り。

フランはひよこ選定、裁縫、初級火魔法。

ポエルは隠密、弓術、特殊弓術、馬術、木登り。

クリスは中級水魔法、中級雷魔法、虚弱体質。

ジョディーは大剣術、弓術、馬術、馬上弓術、初級土魔法、薬の知識、質実剛健、初級回復魔法。

アルベルトは投擲、薬草学、状態異常耐性。

ヘクターは斧術、棍棒術、伐採、体力向上、痛覚鈍化、操盾術、回復弱。

スナイダーは種の知識。

フォルカンは裁縫。

アダムスは木工、念話、片手斧術。

イブラヒムは木工、念話、掘削。

ジェイクは、タウント、鉄壁、攻城、斧術、体力向上、スキルブースト。

ダン、エリオット、ロブはなし。

アツネイサは槍術、剣術、水中移動、隠密、中級水魔法、鉄壁。

トッドはなし。

ルークは、欺瞞、暴飲暴食。


 一部スキルとは呼び難い物も散見されたが、それ以外はマイトランドにとって収穫は大きかった。


 マイトランドがスキルの情報を纏め、編成を考えていたところで、ジョディーが全ての班員を集結させた。


 マイトランドは一端作業を中断し、皆の前に移動すると、作戦会議に移行した。


「まず聞いてほしい。この作戦計画は俺が考えた事だが、不安に思う事、わからない事があったら、その都度質問してくれ。作戦の変更も大いにアリだと思ってる。」


 班員全員が頷くと、マイトランドは続けた。


 マイトランドの説明は非常にわかり安くされていた。


 模擬戦の戦闘地域は初回に限り首都近郊のファルマース演習場を使っている。

 この演習場は概ね4つの地域に分類される。森林、岩場のある小高い丘、湿地、平野があり、マイトランドの班は森林に布陣する。

 これは例年が平野、岩場での脱落班が多いためだ。


 そして今回の模擬戦は2日の大将戦であるということ。マイトランドの班のリーダーはヘクターで、ヘクターの負けは敗北を意味する。


 次に、模擬戦の編成は、


貴族1班 フリオニール・フォン・グレッテ 重装騎兵20名

貴族2班 グレンダ・フォン・ロンメル 軽騎兵20名

貴族3班 エルンスト・フォン・ベルナー 騎兵20名

新貴族1班 フレデリカ・アレクシス 騎兵20名

新貴族2班 ライナー・クリシュマルド 騎兵20名

新貴族3班 ヨーゼフ・アルファイマー 魔導砲撃騎兵20名

新貴族4班 ゲシュハルト・エルドナーレ 弓騎兵20名

その他平民班53班 歩兵21名から24名


 この内、気を付けなければいけないのが弓矢の効果の薄い重装騎兵と、他の騎兵よりもフットワークが軽く速度を重視している軽騎兵、射程を生かし一撃離脱戦法の弓騎兵であり、どれも歩兵に対してはかなり有利あること。


 魔導砲撃騎兵に関しては、前衛がいないため、大した脅威にはならないこと。


 森林地域に布陣したらすぐにフィンの指揮で陣地構築し、馬防柵、パイク、落とし穴などの罠を配置する。


 森林入口2カ所にランズベルクとアダム、ポエルとイブラヒムを配置し、騎兵、敵兵の発見を鏑矢の方向により知らせる。


 平民班が森林に侵入した場合は、矢を2度連続で鏑矢を侵入方向に射出し、遊撃隊をもってこれにあたる。遊撃隊の編成はマイトランド、ジョディー、ジェイク、アツネイサ、シュウの5名。


 演習場は何かの魔道具なのか、全ての人員が、どんな攻撃を受けた場合でも、瀕死の状態で体力が残るため、各班の班長がそれぞれの班の新兵の安全を守り、危険だと感じた場合、すぐに危険な新兵を救出する手はずになっている事。


 そこまで説明が終わると、マイトランドは全員に確認をする。


「ここまでわからないことや、質問はあるか?」


 マイトランドの説明に班員達は沈黙をもって異論がないことを示すと、それを確認したマイトランドは続ける。


「ではフィンとアルベルトから新しい装備を受領して解散しよう。」


 そう言うと、皆と同じ装備受領の列に加わった。


 全ての班員が装備を受領すると、マイトランドは解散の指示を出した。


 その日の消灯前、ルークがマイトランドのベットにやってくる。


「マイトランド。伝えるか迷ったんだけど、どこかは分らないけど、新貴族の班がマイトランドとランズベルクのことを聞き回っていたみたいなんだ。」


 マイトランドは編成表にもう一度目を通すと、にやりと笑い。


「ルークありがとう。ルークのおかげで、最優秀班はほぼ決まったよ。明日も引き続き頼む。」


 そう伝えると、何のことかわからないルークを尻目にその日は就寝した。

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