3. ちびまる子ちゃん

 別の後輩が会話を聞きつけ、なつかしい話してますねと声を掛けてきた。


「ドライくんっていたよね」


「いました。いました」


 彼はサザエさんでもドラえもんでもなく、ドライくんはちびまる子ちゃんのキャラだと主張した。


「丸顔というより横長楕円顔じゃないですか?」


「そうだったかもしれない」


「長軸と短軸の比が 2 対 1 くらいでしたよね」


「それはよくわかんない」


「ちびまる子ちゃん、インフルエンザで学校が休校になったから喜んで遊びに行くんですよ」


「あーまる子っぽいね」


「商店街にも人がぜんぜんいなくて廃墟みたいになってるんです」


「うん」


「で、タマちゃんとか家の人に止められて誘っても出てきてくれなくて、仕方なくドライ君と遊ぶんです」


「ドライくんはクラスメイトなの?」


「なんかそんな感じです」


「で、次の日学校に行くと教室の中央にうんこがあるんですよ」


「なんで?」


「いや、犯人はわからないんです。先生が『うんこ置いた人は名乗り出てください』とか言うんですけど、だれも挙手しなくて」


「え、ドライくんは? ドライくんが犯人じゃないの?」


「うーん。なんか、よくわからないんです」


 そんなような話だった。

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