Section 03「彷徨える幽霊少女の願い」
Subsection C01「地上の森」
ユリハは眼下に広がっていた森の中に落ちた。枝葉が落下の衝撃を和らげてくれたので、大怪我は免れることが出来た。
「いたたた……」
地面に落ちたユリハは、ヨロヨロと起き上がった。なんとか軽症で済んだようだ。それでも、無傷というわけにはいかない。全身に傷を作っていた。
「ミィは何処かしら……?」
キョロキョロと辺りを見回すが、目の見える範囲にペガサスの姿はない。
あのペガサスもまた、森の何処かに落下しているはずだ──。
「助けに行かなくちゃ……」
炎に包まれたペガサスは、きっと自分よりも重傷である。身動きが取れず、助けを求めているかもしれない──。
ユリハはペガサスの身を案じ、森を奥へと進んで行った。
──しかし、結論から言えばミィと再会することはなかった。おそらくそこに落下したであろう草木が焼け焦げた場所はあったが、ペガサスの姿はそこにはなかった。
しばらくペガサスの姿を探したが、他に手掛かりは何もなかった──。
「まぁ、無事であるなら、それでいいけど……」
かと言って、健全な姿を見たわけでもないので、どうにも心配になってしまう。
だが、再会出来ない以上、どうしようもない。ユリハは心残りであったが、目的を変えることにする。
ユリハは上空から見た森の景色を頭の中に思い浮かべた。
──森の北西に街が見えたはずだ。そちらへ向かえば人家に辿り着くことが出来るだろう。
傷の手当てもあるし、何よりも森の中を歩き回って疲労が溜まっていた。
ユリハは自身の記憶を頼りに、町を目指して森の奥へと進んで行くことにした。
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