Subsection B05「天界の宮殿に」

「サァ、ついたよ。ココが天界サ……」

 ペガサスがおりたのは天界の中心部にある宮殿の前であった。全ての神々の頂点に君臨する女神──ウェラ・スポンスキィーが拠点としている場所である。

「へぇー。これが天界ねぇ〜」

 田舎者丸出しで、ユリハはキョロキョロ視線を動かしながら天界の地を踏んだ。

 ペガサスの荒い飛行に一旦はグロッキー状態になったが、そんな気分をも吹き飛ばす程に天界の景色は綺麗だった。

 ──雲の上に広がる世界。地面は遥か下に見えた。

 此処には下界と同じ様に森や川や山があった。それでも、流れる水はどれも澄み切っており、生えている草花も地上のものとはまた違って色とりどりで美しい。

 ユリハが感心して、あちこち見回したくなるのも最もなことであった。

 しかし、そんなユリハの心中などお構いなしに、ペガサスは鼻先でユリハの背中を押す。

「ウェラ様は奥に居るヨ。ボクはココで待ってるから、サッサといってらっしゃい」

 半ば強引に、ペガサスはユリハを宮殿の中へと押し込んだ。観光気分になっていたユリハは、不服そうに唇を尖らせた。

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