10 めぐる優しさ



 ミリアム様は、最初から私の事を気にかけていたわけではなかったらしい。

 けれど、ついこの間にお城に呼んだ旅芸人から、とある話を聞いたそうだ。


 それは一人の少女の優しさから始まる物語だという。


 あるところで、路銀がつきて今にも死にそうになっている男がいた。

 男は旅の者で、どうにかとある国に辿り着いたのだが、そこで力尽きそうになっていた。


 多くの者が行きかう通りに倒れた男へ手を差し伸べる者がいなかったが、一人の少女が一杯のコップに水をくんでやってきた。


 たった一杯のコップだったが、男はその親切をいつまでも忘れなかった。


 元気を取り戻した男は、幸いにも仕事をみつけて、お金を手に入れ、生活できるようになった。


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