第269話 お気楽メンバーとお買い物
ウツボの買い戻しはソードにお任せ。あの痛すぎ男が来たら嫌だから!
私はリモンたちにくっついて最後の買い出しをすることにした。
「気になる女性や男性はいたか?」
と聞いたら、全員に固まられてしまった。
「婚活真っ最中だろう? 物色し、ちょっとでもアンテナに引っかかったら粉をかけないと捕まらないぞ」
「「「「「…………」」」」」
顔に「思ったこともなかった!」って書いてあるぞ。
そんなのん気にしてるから捕まらないんだ!
ため息をついた。
「もし恋人が出来たなら拠点に連れ帰るもよし、その土地に根付くのもよし、言ってくれれば祝金も払ってやるから、遠慮なく婚活してくれ。じゃないと延々私にくっついたまま独身で屋台経営していそうだぞ」
「「「「「…………」」」」」
自分たちもそういう未来が見えたらしい。
どよーんとしてしまった。
「なんか、好きって気持ちがわかんなくて……」
「良い人とは思うけど、それ以上は……」
「挨拶で会話が終わる」
「ときめきってどんな気持ちですか?」
「私はインドラ様にトキメキました!」
リモンが挙手しつつ面白いことを言う。
「兄ちゃんは反対だって言っただろ!」
と、ハッサが憤った。
「その前に、私は独身主義だから別の人間を探せ」
再度、静かにお断りを入れた。
――この、異性に対してまったくアンテナ立たない五人を連れてお買い物の途中。
「綺麗なお姉さん、コレって何かなぁ?」
興味がある物体を見つけて店員に聞いたら、お気楽メンバーがバッと私をガン見した。
「これ? これは異国の地で採れる木の実よ。日持ちするし味もいいのよ」
不思議木の実だな。
気になるので買ってみよう。
店員さんと談笑しつつ買い物して愛想を振りまき買い物を終えると、顎が外れそうなくらいに驚いているお気楽メンバー。
「どうした」
「…………インドラ様って、女たらし?」
とか、つぶやかれた。何を言ってるんだ。
「買い物で愛想を振りまくのは基本だぞ? なにかおまけしてくれたりサービスしてくれたりするかもしれないじゃないか。というか、私は基本的に接客に対しては愛想が良いのだ。利害が絡むからな」
そう言うと、お気楽メンバー全員が顔を見合わせてるが、今まで試したらわりと有効だったぞ。
ただし、この愛想振りまき作戦、男に通用しないのが難点なのだ。
すっごい胡散臭そうな顔をされるのが解せぬ。
「あっ、この野菜知らないな。イケメンのお兄さん、コレって何?」
って八百屋の店主に話しかけたら胡散臭そうに見られた。
「気持ち悪い坊主だな。コレか?」
……なぜかこんな反応をされるのだ。
なんで気持ち悪いのだろう?
「お兄さん、具合が悪いなら早めに休んだ方がいいよ?」
「そんな意味じゃねーよ!」
しかも、心配するとなぜか怒られるのだ。
まぁ、それでも何とか買い物をし終えると、ハッサがなんとも言えない顔で私に諭してきた。
「インドラ様……。インドラ様が野郎に愛想良くしても無理があります」
「私は美少女だぞ! ……そうか、さては照れてるのか! 私ほどの美少女に『イケメンのお兄さん』と言われて照れてあんな態度を取るのか!」
全員が白い目で見てきた。
「……インドラ様。インドラ様は確かに顔が整ってると思いますけど、俺が初対面でインドラ様に『イケメンのお兄さん』って言われても胡散臭い以外の何も思えません」
ひどいこと言われた。
お気楽メンバーも鼻を利かせて気になるものを見つけて買ってくれ、なんなら異性でもいいからと命令し、いろいろ買う。
「インドラ様、コレは?」
「聞かなくていい、買え。買ってから考える」
ヒューと口笛を吹かれた。
「やっぱり惚れちゃいそう~」
「駄目だ、兄ちゃんは反対だ!」
「そして私は独身主義だ」
人の話を聞け、兄妹よ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます