第158話 注意!残酷描写あります 苦手な方は読まないで下さい
定番のパターン、誰もいない準備室に連れ込まれた。
「……さーて、歓迎会をしようか。平民の奴隷君? これから、お前を囲んだ楽しいパーティを始めようぜ?」
ボスらしきくすんだ黄土色の髪の、そばかすだらけの男が私を見下ろす感じでお決まりの悪役貴族のセリフを言うと、周りの少年たちも同調して嘲り笑う。
せっかくの名演技なので、私も同調してか弱いフリをしてみた。ぷるぷる。ぼく、わるいへいみんじゃないよう。
「まず、服を脱げ。私たちの奴隷の刻印として、お前に焼きごてを押してやろう」
少年たちが
ガチャン!
魔術でドアを施錠。さらに、防音魔術展開。
その音にビクッとした少年たち。
「おいおい、こんなことくらいで驚くな。そんなんじゃ、せっかくお前たちが歓迎会を催してくれるというのに、楽しめないじゃないか」
笑顔で優しく少年たちに伝える。
「奴隷の刻印か……。なかなか良い趣味をしているな。私も奴隷がほしかったところだ。慰み者にして最後はゴミのように殺し、捨てていいんだろう? お前等を、私の奴隷にしてやろう」
態度を急変した私に、少年たちがあっ気にとられた顔をした。
そんな中、ボスがいかにもな、なめきっている脅しの表情で私を見下した。
「はぁ? テメェ、平民の分際で何言ってやがる?」
――あらあら、貴族がそんな下品な言葉を使ったらいけませんよ?
「お前こそ、『たかが貴族』の分際で、私に口答えするか? なら、しつけないとな」
ボスに一瞬で近付くと、驚がくするボスの生爪をはいだ。
悲鳴と血しぶきが飛ぶ。
「ふむ、皮までははげなかったか」
顎に手を当ててつぶやいた。
では、次だな。
泣きわめくボスを放置し、囲んでいた少年たちに向き直って言った。
「焼きごてはどこだ?」
「ヒッ!」
少年たち、まだ何もしてないのにすくみ上がった。
……なぜだろう? ここは怒って私に襲いかかってくるのがセオリーじゃないのかなーと首をかしげながらも続けた。
「なぁ、私は、焼きごてはどこだ? と聞いたんだが」
途端に走り出したので、てっきり焼きごての場所に走ったのかと思ったら、ドアを開けて出ていこうとした。
「あ、開かない!」
「なんでだよ!」
「貸してみろよ!」
ワイワイ騒ぐ少年たち。
「当たり前だろう? 歓迎会を開いてくれると言ったじゃないか。簡単に逃すわけがない、ってお前たちが考えたんだろう?」
声をかけるとビクッとしてこちらを向いた。
「さらに、だ。お前たちが考えたように、ここは大声で叫ばれてもそうは聞こえない場所だろうが、さらに私が! 追加で防音魔術を施した。どれだけ騒ごうとも、声は漏れない。ドアは開かない。私が解除するまで、外からも絶対に開かないようになっている」
ゆっくりと少年たちに向かって歩いていく。
少年たちは必死でドアを開けようとガタガタやってるが、そんなことで開くわけがないだろう?
「……さぁ、歓迎会を続けよう。私はこんな展開を待ち望んでいたんだ! ここには私を止める者など一人もいないからな! ――お前たち、私を楽しませてくれよ? 簡単に心折れるなよ? ようやく待ち望んだ『か弱そうな平民の新入生が、弱者を蔑み
少年たちににっこり笑いかけた。
貴族が平民へ催す歓迎会とは、焼きごてを押しまくるものらしい。
と、いうわけで! 焼きごてを見つけて全員に押しまくった。――この焼きごて、元々何に使うんだろうね? しかもご丁寧に魔導具なんだけど。拷問用魔導具とか言わないよなぁ?
残念ながら少年たちは簡単に心折れてしまい謝罪してきたのだが、ボスはボスだけあって、なかなか根性があった。
「お、俺に、こんな、こと、して、お、お前、ただで、すむと、思う、なよ!」
って言ったもんな!
「うむ! そうでなくてはな! どんどんかかってこい! 百倍返しで、もっとひどい拷も……歓迎会を開いてやるぞ! お前はなかなか見所があるやつだな! よーし、もっといろいろ
喜んで相づちを打ったら、泣き出した。
「こ、この傷を、見れば、お前が、何したか、お前、死刑だ」
「あぁ……そんなことを考えていたのか。安心しろ。私はな? 回復薬も作れるし、なんなら回復薬など作らなくても、魔術で治せるのだ。……ほーら、元通りだ」
指パッチンして治してみせた。そしてボスに向かってニッコリ笑う。
「じゃあ、また再開しよう。……確か、『服を脱げ』とか言ってたか? よし、お前を裸にして、焼きごてをお前の自慢の息子に押して真っ黒くしてやるぞー? かっこいいぞー?」
喜んで教えてやった。
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